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2002年11月30日(土) ■ |
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83歳で「現役合格した」大学生。 |
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読売新聞の記事より。
【東京都内の定時制高校に通う83歳の男性が、明星大学経済学部(日野市)の推薦入試に合格した。男性は経済的理由や戦争で中学校にも行けず、勤務する建設会社を退職した1996年、「どうしても学校に行きたい」と76歳で中学校の夜間学級に入学。以来、大学進学を目指して勉強を続けてきた。男性は「あこがれの大学でどんな勉強を教えてもらえるか楽しみ」と話しており、同大では「勉学への熱意を若い学生にも伝えてほしい」と期待を寄せている。
合格したのは東京都立立川高校定時制課程4年の原田義道さん(国立市)。29日に合格の知らせを受けた。
原田さんは32年、岐阜市の尋常高等小学校を卒業したが、経済的事情で進学できず、材木の仲介販売を行う父親の手伝いをしていた。39年には日中戦争で徴兵されて戦地に赴き、終戦後は同市内で建設関係の仕事をしていた。
その後は上京し、別の建設会社に勤務するなどして76歳まで勤め上げた。しかし、学校への思いは消えず、自宅近くのスーパーでアルバイトをしていた教員志望の女子大生の助言もあって、96年に八王子市立第5中の夜間学級に入学。教科書の入ったリュックサックを肩に掛け、64年ぶりの通学を始めた。
「記憶力も悪くなっているし、最近の授業は難しい」と原田さんは苦笑するが、中学時代の成績はほとんどが「A」で、その後に進学した立川高も4年間で5日しか休まなかった。小論文と面接による今回の推薦入試も約1・7倍の倍率を見事に突破。入試当日は現役学生らも受験生と気付かず、「サークルの勧誘も全く受けなかった」という。
21年前に妻を亡くしたが、3人の子供と4人の孫、8人のひ孫に恵まれ、「大おじいちゃん」と呼ばれる原田さん。「若い世代と一緒に勉強するのは本当に楽しい。大学では、時代を動かしてきた『経済』について、大いに学びたい」と張り切っている。】
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僕は子供の頃、「読書が趣味」というお年寄りに疑問を持っていました。 あんな年になってから本を読んだって、そこで得られた知識をどこで生かすんだろう?ということに。 要するに、勉強したり、知識を得ても、それを生かす場所がなければ無意味だし、年をとってからの勉強は意味が無いと思っていたのです。 このニュースを聞いて、なんだかそのときのことを思い出してしまいました。 原田さんは、83歳。大学で経済学を学んだとして、実際にそれを社会に還元できるかといわれると、正直言って難しいのではないでしょうか。 87歳の大学卒業生が就職活動をしたとして、採用してくれる企業があるとも思えませんし、原田さんが今から経済学を極めて、学者としての業績を残すというのも、非現実的な話ですし。 でも、自分が30歳になって思うのは、「本を読むのは、自分が読んでいて楽しいからであって、それが社会に還元できるかというのは、あんまり関係ない」ということです。 もちろん、仕事のために必要ということで、面白くない本を読むこともありますけれど。 「新しい知識を得る」ために勉強するということも、「何かの役に立てるため」という人もいる一方、純粋に「勉強することが楽しい」という人もいるのです。 例えば、「テニス」というスポーツを極めるためにやっている人もいれば、楽しむためにやっている人もいるのと同じこと。 原田さんは、結局は「勉強することが好き」なんでしょう。 失礼ながら、このお年で勉強することに、まわりはいい顔ばかりはしていなかっただろうけれど。 役に立てるための勉強だけじゃなくて、趣味としての勉強。 本人は好きなことをやっているだけなんだから、あんまり騒ぎ立てずに、楽しんで学校に行ってもらえればいいんじゃないかなあ。 学校側も「この姿勢を見習って」なんて、祭り上げる必要ないですし。
しかし、今の大学教育というのは、原田さんに憧れられる資格があるのかどうか? それがいちばんの問題ですね。
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