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2002年11月11日(月) ■ |
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「また、どうぞ!」と言う店の矛盾点。 |
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「居酒屋の道」(石井誠二著・小学館文庫)より抜粋。
【「八百八町の凡事徹底事項」の一つに、お客さんがお帰りになる際の見送りの徹底がある。お客さんが店を出るとき、ただレジの前だけで応対するのは失礼であると考える。お客さんへの感謝を表すには扉を開け、外まで出て、送り出さなければならない。 そのときお客さんにかける言葉は、「おやすみなさい」「お足もとに気をつけて」などで、「また、どうぞ!」とは言わない。その言葉はあくまでも、「またきてください」という店の立場であって、お客さんの立場になっていないからだ。】
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こういう細かいところへの気配りって、なかなかできないことだと思います。 僕は、サービス業のなかでも「また来てね」と言ってはならない職場である「病院」に勤めているので、自分でこの言葉を発する矛盾を感じたことはないのですが(だって、病院で帰るときに「またの御来院をお待ちしております!」なんて言われたら、頭にくるでしょう?)外食の帰りの際などは、こういう声をかけられることって、よくありますよね。
客として、この「またよろしくお願いします」に対して感じることは、いい店だったら「また来るよ」だし、気に入らなければ「もう来ないよ」なのです。もちろん、後者を実際に口に出すことはありませんが。 しかし、確かにもう来たくないと思わせるような、概して流行っていない店のほうが、この「またどうぞ」を言う店が多いような気がするんですよね。 たぶん、切実にまた来て欲しいという心のあらわれなんでしょうが、「またどうぞ」と言われたからと言って、その店に対する印象というのは、変わらないと思うのです。 来る人は来るし、来ない人は来ない。
あまりに馴れ馴れしい言葉をかけられるとかえって嫌な気分になることはありますが、「おやすみなさい」「足元に気をつけて」というのは、確かに客を気遣った言葉。 この文章で、いままで「またどうぞ」と言われるたびに感じていた違和感の正体が、明確になったような気がします。 ただ、僕としては「おやすみなさい」とか言われるのは、ちょっと干渉されているような、濃すぎるような印象があるので、シンプルに「ありがとうございました、お気をつけて」くらいが、一番いいと思うんだけどなあ。
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