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2002年10月03日(木) ■ |
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2002年10月3日。 |
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朝日新聞の記事より。
【「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」に参加する家族たちは3日午前、東京都千代田区のホテルに集まり、政府調査団が平壌で撮影したビデオ映像を見た。同会関係者によると、生存が確認された5人と、横田めぐみさんの娘とされる少女の計6人が映っていた。全体で約10分。「家族へのメッセージを話したり、手紙を読み上げたりしているが、全員が無表情だ」という。 ビデオを家族とともに見た関係者によると、平壌で結婚したとされる蓮池薫さんと奧土祐木子さん、地村保志さんと浜本富貴恵さんのカップル2組は、それぞれ2人一緒に映っていた。 曽我ひとみさんと、横田めぐみさんの娘とされる少女「キム・ヘギョン」さんは個別だった。 それぞれがビデオに登場した時間は数分ずつで、父母や兄弟に呼びかける場面もあった。映像の中のソファが同じであり、同じ場所で撮影したと見られる。平壌での聞き取り調査中に撮影したものだという。】
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このニュースの「全員が無表情」のところを読んで、どんなイメージを持たれるでしょうか? おそらく「監視されていたんだろうなあ」とか「洗脳されて、無感動な人格になってしまったんだろうなあ」とか感じる人が多いと思います。 僕も、最初はそう思っていたのですが。
でも、よく考えてみてください。例えば、留守番電話が出始めた頃、「メッセージを入れてください、ピーッ」のあと、妙に緊張してよそゆきの声で用件を入れてませんでしたか? あるいは、写真をとられるとき、「ハイ笑って」と言われれも、引きつった笑顔しかできなかったことはありませんか? 北朝鮮の今の国情では、ビデオカメラなんて珍しいものでしょうし、10年以上も会っていない身内へのビデオメッセージの撮影現場で、表情豊かに、笑顔とか怒りの表情なんて、あらわせるほうが、むしろ不思議だと思います。彼らにとっては、まだ急激な状況の変化に困惑しているという面も大きいでしょうし、目の前にはビデオカメラと面識のない役人しかないわけですから。 その状況で「お母さん!」とか叫ぶのも、かえって異常なことなのでは。 僕にも、別に彼らが北朝鮮で楽しく平和な暮らしていたとは思えません。 でも、ビデオでのメッセージだけの状況で、現在の本人たちについてあれこれ考えすぎるのは、あまり意味がないんじゃないでしょうか。 人間の感情表現なんて人それぞれですし、無表情=感情に乏しいとは、必ずしも言えませんし。 実際に会ってみることでしか、わからないことなのでしょうから、ビデオの映像での先入観であれこれイメージするよりも、少しでも早く、いい状況でご家族と再会させてあげられればと思うのです。 電話では愛想の悪かった人が、会ってみたら親しみやすい人だったという経験、だれにでもあるはず。画面では無表情でも、目の前に家族の顔があれば、全然違う表情をみせてくれるかもしれませんよ。
被害者の御家族はともかく、報道する側までがあまりに先入観をもっていては、誤解を招くもとにしかならないのでは。 まあ、これは予想というより、願望なのですが…
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