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2002年05月29日(水)
2002年5月29日。

西日本新聞の記事より。

【外国語指導助手生徒とトラブル 「意思疎通ない」帰国 八女郡

 福岡県八女郡内の中学校に昨年七月着任した米国人女性(27)の外国語指導助手(ALT)が、生徒とのトラブルが原因で昨年末に帰国していたことが二十八日、分かった。女性は西日本新聞の取材に対して「学校や教育委員会は問題解決に真剣に取り組まず、意思疎通ができなかった」と任期半ばでの帰国の理由を説明。日本語が十分に話せないまま来日するALTも多く、それを受け入れる学校や市町村教委の態勢の不備を指摘する声も上がっている。文部科学省によると、生徒とのトラブルでALTが帰国するのは珍しいという。

 女性は、ALTとしての着任以前に佐賀県内の英会話教室で教えた経験があったが、日本語は話せず、中学校では日本人英語教諭の補助役として一日二時間、全学年の授業を担当していた。

 女性が退職後に教委に提出した報告書や学校側の説明によると、トラブルは二学期のスタート直後に始まった。授業中、女性にカメラを向けた三年生の男子生徒を日本人教諭が注意したところ小競り合いとなり、授業は中断。その後この生徒らは、校内で女性を見かけるたびに「暴言」を吐き、壁を強くたたくなどの嫌がらせを続け、女性は「恐怖を感じた」という。十一月には女性の自転車が何者かに壊された。教委の指導で学校が調査。生徒数人が謝罪を申し出たが、ALTは十二月末で退職した。

 この中学がある自治体の教育長は「子どもたちが本物の英語に接する機会が失われ、非常に残念。学校側の認識が甘かったと思う」と釈明。】

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外国人の先生に、英語を習ったことがありますか?
その質問に対して、たぶん僕と同世代(30歳)以下の方なら”Yes”の答えが多いんじゃないでしょうか。今現在がどういう状況なのかは知りませんが、僕の記憶の限りでは、外国人教師も大変だなあ、という印象がありました。
みんな積極的に話し掛ければいいんだろうけど、なんとなく尻ごみしてしまいますし、なんかもう、教室に入ってきた時点から怒っているような人もいたりして。
食堂でひとりでご飯を食べている姿をみると、なんだか悪いなあ、と思っていたのをよく覚えています。
僕が外国人教師に対して記憶に残っていること。高校時代に英語の授業で「試験の功罪」という題で、「功」か「罪」かどちらかの立場にたって論じるように、という宿題が出たときのこと。当時から天邪鬼だった僕は、試験の罪(学力だけで人間を判断している、実社会に役に立たない)を弾劾する同級生の逆をついて、「試験の功」というタイトルで、歴史的にみて、試験で人間が評価されれようになったことは、それまでの血統、門閥で生まれつき身分が決まっている社会よりも公正なことであり、すべての人にチャンスが与えられるという点においては、まだ試行錯誤の最中ながらメリットがあるのではないかということを論じました。
でも、もともと英語はあまり苦手ではなかったため、文法メチャクチャでしたけど。
で、その宿題、なぜかクラス最高点をいただきました。
日本人の英語教師が「いや〜お前のは文法はちょっとアレなんだけど、内容があるって、外国人の先生が褒めてたよ」といいながら答案を返してくれたことを覚えています。まあ、その「公平志向」が西洋的なものの考え方に、結果としてマッチしていたんでしょうけど。

「異文化コミュニケーション」って、いうけれど、外国人教師に、僕たちは「ことば」だけを習おうと思ってはいないでしょうか?僕たちが日本語教師として海外に行ったとしたら「文法・発音」さえ教えればいいんでしょうか?
大事なのは、話そうとする気持ち、内容であって、文法や発音は、手段に過ぎないわけですから。もちろん、正しく気持ちを伝えるには、洗練された手段が非常に有用であることは、言うまでもないんですけど。

結局、日本にやってくる外国人教師と生徒・学校側の求めてるもの、やろうとしていることの「温度差」がこういう軋轢を生んでいるんでしょうね。
大事なのは、本物の「英語」に接する機会ではなくて、本物の「アメリカ人」に接する機会だったのではないかなあ。