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2002年05月14日(火) ■ |
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2002年5月14日。 |
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佐川芳枝「寿司屋のかみさん おいしい話」(講談社文庫)より抜粋。
【夫があまり笹切りをしなくなったのは、7、8年前からだ。あるとき、エビ形に切ったヤマ(笹の葉)を入れて、出前の寿司を届けると、あとで、 「笹の葉なんか入ってると、不潔な感じがするから、入れないでください」という電話がきた。ビニール製のバランに馴れた人には、笹の葉が、道ばたに生えている雑草と同じように思えたらしい。 私達には、5、6月の新緑のシーズンに出回る笹の葉は、緑が鮮やかでみずみずしく、季節を感じさせてくれるものだが、人によってはビニール製のバランの方が清潔に感じるのだろう。そう思っているのは、このお宅だけではないかもしれないと、夫と話しあって、出前に使うのはビニール製のバランに統一してしまった。】
〜〜〜〜〜〜〜 この本が上梓されたのは1996年だそうですから、少なくとも今から10年以上も前の話になりますね。そういえば、子供の日の柏餅も最近はビニール製の柏の葉もどきに包まれているものが多いような。 確かに、あまり長期に保存するものについては、味や香りに影響が出るのかもしれませんが、これはあまりに神経質すぎるような気がします。 でも、近年の抗菌ブームを考えると、人間は、同じ人間というものを「不潔」だと考えているということが、よくわかります。 博多の某有名ラーメン屋の店内に「人の手に触れるのは、麺を茹でるときだけです」という表示がされていて、僕はすごく違和感を感じます。 そんなに人が触らないことはいいことなのかなあ、と。 コンビニのおにぎりをつくるときにしても、ほとんどオートメーション化されていて、人間の手に触れる機会はほとんどないそうですし。 確かに、人間の手というのは衛生学的に言えば「不潔」です。いろんな雑菌がついています。でも、人類はそれでいままで生きのびてきたんだから、あまり神経質になるのもどうかなあ、と。逆に体力があるときにそういった菌に対する抵抗力をつけておかないと、高齢になったとき、抵抗力が弱った時に弱い菌にでもやられてしまうことも考えられますし。 それに、機械や人工物が「清潔」というのは実は幻想でしかなくて、機械にだっていろんな雑菌がついてますし、その衛生管理を最終的に行ってるのは人間なんだから。コンビニのおにぎりを滅菌室で滅菌手袋で食べるのならともかく、あまりに人間の手を不潔視するのもいかがなものか。
ただ、これは「不潔!」っていうよりも、他人を信用できなくなっているところからなのかもしれません、本質的には。どこの誰がつくったかわからないものを日常的に食べているという不安のあらわれなのかも。
井川遥(あなたが女性ならキムタクにしましょうか)が目の前で握ったおにぎりとコンビニのおにぎり、あなたならどっちを食べますか?
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