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2002年04月30日(火)
2002年4月30日。

毎日新聞の記事より抜粋。

<保険金殺人>看護婦仲間4人が共謀し泥酔の夫を殺す 福岡県

 看護婦仲間4人が共謀して、うち一人の夫を殺し、生命保険金3000万円をだまし取ったとして、福岡県警は28日、同県久留米市野中町、元看護婦、吉田純子容疑者(42)らを殺人などの疑いで逮捕した。4人は泥酔した男性の体内に、チューブでウイスキーを流し込んだという。

 調べでは、4容疑者は共謀して99年3月27日午後4時半ごろ、石井容疑者の別居中の夫、会社員、久門剛さん(当時44)を北九州市小倉北区の家から大川市の石井容疑者の実家に呼び寄せ、酒を飲ませて眠らせた。その後、ボトル約1本分のウィスキーをチューブで体内に流し込み、翌28日、同市内の病院で呼吸障害で死亡させた疑い。病院は「飲み過ぎて倒れた」と聞き不審に思わなかったという。さらに4人は事故死として翌4月上旬、生命保険会社から死亡保険金約3000万円をだまし取った疑い。

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桐野夏生の「OUT」を彷彿とさせるこの事件。もちろん、あの小説では計画的、保険金目当てではありませんでしたから、こちらのほうが、より悪質であることはまちがいないですが。
相変わらず、メディアでは、「人の命を預かる看護職の人間が、その医学知識を使って!」という論調が目立っているようですが、正直、余計なお世話だ、という気がしなくもありません。
医者になるには、どうすればいいかご存知ですか?大学の医学部に入学して、卒業し、医師国家試験に合格すればいいのです。
看護師になるには?看護学校(専門学校、大学含む)に入学して卒業し、国家試験に合格すればいいのです。
それで、実はこれら医療職につくには、勉強さえある程度できて、実習についていてるくらいの体力、忍耐力(まあ、大変ではあるんですけどね)と他人と意思の疎通ができるくらいのコミュニケーション能力があればいいのです。表面上取り繕うことがふだんできれば、モラルの有無なんて無関係。
医療職は人の命を預かる仕事だから、人格者であってもらいたい、という気持ちはわかります。でも、食いっぱぐれのない専門職としてこの仕事を選んだ人、けっこうたくさんいると思うのです。
だから、医療関係者だからモラルが高いというのは、大間違い。
たぶん、その道徳心は医療職でない日本国民とたいして変わりないんじゃないでしょうか。責任はやたらと重いわけなので、仕事上での道徳心はみんなそれなりに持っているのだろうけど。
僕は、この4人の殺人集団には厳罰が与えられるべきだと考えています。
でも、看護師なのに…というのは、別にそんなこと関係なく、悪いことは悪い!
医者だろうが、看護職だろうが、宗教関係者だろうが、政治家だろうが、悪いやつは悪いことをするのです。ことさらに、看護師を強調することはないんじゃないかなあ。確かに、職業的な知識を利用した犯罪で、タチが悪いものなのですが…。
おかげで、全国で、患者さんに「あんたのダンナは保険金掛けてるの?」なんて聞かれる看護師さんがいっぱいいると思うと、それだけで腹立たしい話です。

蛇足:この事件の報道で、いかに看護「師」という言葉が人口に膾炙していないか、あらためてわかったような気がします。