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2002年04月25日(木)
2002年4月25日。

岡崎昂裕著「失踪する人々」(宝島社新書)より抜粋。

(著者がまだ新人探偵だった頃の話。失踪した「無趣味で、賭け事やゲームは大嫌い、酒はたしなむ程度」の捜索対象者の調査にあたって)

【なんと、先輩調査員は、依頼者が最も否定的な見解を示していた、パチンコ店の調査から開始するというのだ。
「家出したばかりの頃は、時間を持て余すものなんだよ。仕事探す気にもならなくて、放心状態なんだな。そんなとき、彼らは何も考えなくていいような場所を選ぶ。それまでまったくやったことのないような人間でも、パチンコをしに行くのさ。日本人の娯楽の代表は、パチンコなんだから」
新米探偵だった私は、彼の深い洞察力に共感できなかった。いくら暇でも、パチンコ嫌いがパチンコをするだろうか。

 だが、その後の経験で、いかにパチンコ店での発見率が高いか、私は思い知ることになる。その日が、第一歩だった。】

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 もし自分が失踪するとしたら、まずどこに行きますか?駆け落ちとかの目的があるわけじゃなくて、ただただ、現実から逃れたいための失踪。こういうときって、例えば「北へ行ってください…」とか言って、オホーツクの流氷を眺めたりしそうなイメージがあるのですが、現実は違うようです。
確かに、急に時間ができてしまった場合、日常では、どこか旅行に行きたいとか思っていても、実際に飛行機にとび乗ってしまうというのは難しい。手続きがけっこうめんどくさいし。電車ならアリかな。
結局のところ、突然の失踪者は日常生活に接している、ちょっとした異空間に行くことになってしまうようです。人にまぎれられて、あまりものを考えずにすむところ。普段パチンコばっかりやってるような人は、こういうときには用心して行かないようにするのかもしれませんけど。
暇を持て余してしまった人間の行動パターンというのは、ある程度決まっているみたい。もし、失踪をお考えの方がいらっしゃったら、パチンコ店には、行かれないほうがいいかと思われます。

しかし、逆の考え方をすれば、僕たちはパチンコ屋に「プチ失踪」をしに行っているといえなくもないですね。