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2002年04月16日(火)
2002年4月16日。

ZDNetの記事より引用させていただきました。

【インターネットの掲示板に書き込んだ発言を無断で書籍にまとめたのは著作権の侵害だとして,書き込んだユーザーが,著者と出版社に書籍の出版・販売差し止めと賠償などを求めていた訴訟で,東京地裁は4月15日,掲示板への仮名投稿も著作物に当たると認定,差し止め請求を認めた。

訴訟は,掲示板「サロン・ドゥ・ホテル ジャンキーズ」を運営するホテルジャーナリスト・村瀬千文氏が,2001年6月に光文社から出版した「光文社知恵の森文庫 世界極上ホテル術」が発端。これに対し書き込んだユーザーが「サイトには発言を転載する旨の断り書きは一切なかった」と相次いで抗議。2001年10月,ユーザー11人が「掲示板投稿の無断引用は投稿者の著作権を侵害している」として村瀬氏と村瀬氏の所属事務所,版元の光文社に出版・販売差し止めと約250万円の支払いを求める訴訟を起こした。

訴訟では,ネット掲示板での匿名発言に著作権を認めるべきかどうかが争点になった。村瀬氏側は「投稿は創作性が乏しく,著作権を主張できるものではない」「原告らが該当発言の投稿者なのか立証できない」と主張した。

これに対し東京地裁は「投稿の多くは思想や感情を創作的に表現しており,匿名のネット投稿でも著作物性を否定しない」と認定。その上で「光文社はサイト運営者を通じて出版許諾の確認ができたはずだった」として著作権侵害を認め,差し止めと著作権使用料約120万円の支払いを命じた。

掲示板での発言をまとめた書籍の出版が相次ぐ中,匿名発言にも著作権を認めたことで,掲示板発言の2次利用のあり方に影響を与えそうだ。】

〜〜〜〜〜〜〜
ネット上の掲示板は、誰のものか?
この判決、いろんなことを考えさせられます。
最初の印象としては、掲示板に書くということは、不特定多数の人々に無料で読まれることを前提としているはずなんだから、著作権といわれてもねえ。という感じの印象でした。言い方は悪いけれど、本になって、お金になりそうだということで、噛み付いてきたんじゃないか、と。

最近、掲示板での発言の書籍への無断引用(商用利用)が問題になっているケースが、かなりたくさんあるようです。それでは、例えば有料サイトやバナー広告で収入を得ている掲示板メインのサイト(「2ちゃんねる」は赤字らしいですけど…)に対し、掲示板の書き込みをした人が「著作権の侵害だ!」と言い始めたら、どうなることかなどと考えもしてみます。
もちろん「発言内容の著作権はは管理者に帰属します」という旨を明記しておけばいいのかもしれませんが。

ただ、今回のケースの場合に限定して言えば、被告の村瀬氏サイドの「投稿は創作性が乏しく,著作権を主張できるものではない」「原告らが該当発言の投稿者なのか立証できない」というような、情報(このサイトの書き込みにかんしては、有益な『情報性』があると思います)を提供してくれた人をバカにしたような考え方が、さらに火に油を注ぐことになっていったようです。

ちなみに、原告側は、この訴訟で全然儲かってはないと思われます。
だって、1人10万ちょっとの著作権使用料なんて、裁判の費用とかかった時間を考えれば大赤字なわけで。しかしこれは、いくら「ネタについての元手」がかからなかったとしても、村瀬氏側もたぶん大赤字。

匿名だからといって、そこにはちゃんと書き込んだ人がいるということは、お互いに意識しないといけないこと。
まあ、「創作性が乏しく、著作権を主張できるものではない」というような内容ならわざわざ出版するなよ、というような気もするのですが。
もちろん、そういった玉石混合の掲示板の内容をまとめて、読みやすい形にしていくというのも、かなり大変な作業ではあるのですが。

ネット上とはいえ、人と人との信頼関係が大事ということには、かわりはないようです。

掲示板は、結局、誰のものなんだろう…