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2002年04月09日(火)
2002年4月9日。

「リリパット・アーミー しこみ篇」(中島らも、わかぎえふ共著・角川文庫)のあとがきより抜粋(書いているのはわかぎ氏)。

(中島らも氏が、劇団リリパット・アーミーを最初につくったとき、公演で儲かったお金をギャラとして団員に支払ったことの回想)

【彼(中島らも)は、友達には最高のギャラを支払うべきだとも言った。一度だけなら、友達にタダで仕事を頼むことは出来る。
 例えば、絵を描いている友達に「頼む、1回だけでいいから芝居の背景描いてくれへん?」と頼んだら、友達は引き受けてくれるだろう。しかし、毎回というわけにはいかない。彼にだって生活というものがあるのだから、自分の生活の糧となる仕事を押し退けてまではやってくれない。
 やってくれたとしても、いつまでもそんなことしてたら気まずいだけだ。みんないつかはプロになろうとしてるのだから、当然仕事として友達を雇うべきなのだ。
 と、いうようなことを親父(中島らも氏)は言った。】

〜〜〜〜〜〜〜
「友達なんだからさ〜」というのは、ほんとうに、よく耳にする言葉ですよね。でも、この「友達なんだからさ〜」のあとに続く内容というのは、読んでいる方々が、なんとなく厭な感じを抱いているように、あんまりいい内容だったためしがありません。

「友達だから、最高のギャラを」というのは、すごく意外かつ冷淡な印象を受ける言葉です。でも、友達だからこそ逆に、そういうところをキッチリとやっていかないと、仕事もいいかげんになるし、友情も壊れてしまう、ということを中島らも氏は考えていたんでしょうね。

もちろん、この背景には、彼らが作った「リリパット・アーミー」が興行的に成功して、幾ばくかでもギャラをだせる状況にあったということもあるのでしょうけれど。

「仕事は仕事、友達だからこそ、お互いに貸し借りをつくらない」というのは、確かに大事なことかもしれません。
だいたい、「友達だから、〜してくれ」なんて日常的に言ってくるような人間に、ほんとうの友情があるとは思えないわけで。