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2002年04月08日(月)
2002年4月8日。

渡辺誠著「殿下の料理番」(小学館文庫)より抜粋。

(当時、宮中の調理場の駆け出しであった、著者に対して)
【和食の責任者であった、宇津俊雄さんが、
「お重に詰め物をするときには、適当な勘で切ってはいけない。器の幅をものさしで測って、そこにきちっときれいに収まるように合わせて切りなさい」
と言って、それを実践してみせてくれました。その精緻な出来上がりはまさに芸術的。たんにおいしいものを作ればいいというものではない、その神経の遣い方は並々ならぬものがあるのだと、つくづく思ったものです。】

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職人の仕事のイメージというのは、いわゆる勘ですべてを見切ってしまうような印象ってないでしょうか?器の幅を定規で測るなんて、素人っぽいような感じもします。
でも、プロの仕事もつきつめていけば、人間の勘というのは、完璧にはアテにならない、ということなんでしょうね。おそらく、このレベルの人ならば、勘で切っても、そんなにバラツキはないだろうと思うのですが。

もちろん、普通の料理店で、はコスト的にも見合わないし、ここまでのことをやる必要は、ないことではあるのですが。

本当の贅沢というのは、ただひたすらに人間が手間をかけること、なのかもしれません。こればっかりは、お金だけでは、なかなか難しい。作る側の気持ちの入り具合というのも、あるでしょうから。

料理に限らず、仕事は、どんなに慣れているつもりでも経験だけをアテにしてはいけないよ、という自省の意味もこめて。

なんだか、「美味しんぼ」みたいな結び。