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2002年01月30日(水)
2002年1月30日。

「田宮模型の仕事」田宮俊作著より

【アニメ作家の大塚康生さんが、田宮模型で「兵士人形」の原型となる石膏像を見て「う〜ん、二コマ遅い」とつぶやかれました。
私(筆者)はその意味がわからなくて訊ねると「田宮さん、悪いけど、これはベストのポーズじゃありませんね。このキマリのポーズの二コマ前の瞬間がいいんだなあ」というのです。
「もとにしてる写真のポーズ、これがちょっとね。止まってる状態で撮ってるでしょ。だから人形に動きがないんだ。ライフルを撃つとどうなる?こんなカチカチのポーズじゃない。撃った瞬間、反動で肩がブレるんだ。そういうことを知ってつくったほうがいいですよ」と。
大塚さんはムービーのプロであり、そのアクションを見極める目には、本当に驚かされました】

 前に、黒澤明・宮崎駿・北野武の3人の監督について書かれた本を読んだことがあるのだが、黒澤監督は、周囲から見たら何の問題も無いところの「直し」を求めて、周囲を驚かせたという。で、そのあとに撮りなおしたあとのやつを見てみると、何が違うのかまわりはよくわからなかった、と。
たぶん、見えるひとには見える違いっていうものは、この世界にはあるんでしょうね。イチローがあんなにヒットが打てるのも、彼は違う野球の世界を会得しているからで。むしろ、みんなが自分と同じ世界で生きてると思うほうが、異常なことなのかもしれない。
僕は、ときどき自分が「赤」だと思い、みんなも「赤」だと言っている色が、他の人にとっても同じように見えているのか疑問に思うことがあります。もちろん、他の色と違うと言う意味では「区別」はできているんだが。