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■ 背中越しの少年(笛)(水野と郭)
この関係は多分、背中合わせ。
水野竜也と郭英士の仲は悪くはない。しかし良くもなかった。 顔を合わせれば多少の話をすることはある。話題は常にサッカーだけだけれど、それほど険悪というわけでもない。 ただ、他の話題が見つからないというのもあってか、偏り過ぎた会話はお互いの個人情報交換にはならない。 知らないのだ、自分たちは。お互いを全然。 日常どんなものが好きだとか、どんなものが嫌いだとか。 兄弟はいるのかとか、両親はどんな人だとか。 同じチームで同じポジションにいようとも、すれ違いのある人間はいるものだ。
「……………何か喋れよ」
何故か訪れた二人きりという空間に先に耐えられなくなったのは水野のほうだった。 その言葉に、郭は片眉をやや跳ね上げる。
「そっちが何か言えば」
素っ気無い返事は、その怜悧過ぎる横顔に腹が立つほど似合っている。皮肉としてそう思ったはずだったが、水野はそれが自分の本心だったと思ってさらに不快になった。 こいつ苦手だ、と内心で苦虫を噛み潰す。 もっともシゲあたりに言わせれば、水野に苦手じゃない人間などごく一握りだと評するだろう。自分のペースが守れない相手を水野は一概に『苦手』と表現する。区分が随分と大雑把なのには本人だけが気付いていない。
「…あの、さ」 「なに」
相変わらず郭の返答は素っ気無さ過ぎた。 その返事の仕方が氷点下に感じられるのは自分の被害妄想だろうか。そう思って水野は次の言葉を見失った。 話し掛けておきながらいつまで経っても続きを言わない水野に、今度は郭のほうが耐えかねた。
「黙ってないで何か言いなよ」 「あ、ああ」
しかし何を言えばいいのか、と水野はやや逡巡した。郭は黙ってそれを見ている。郭と付き合いの長い人間ならそれが、ただぼんやりと相手の出方を待っているだけとすぐわかるが水野にそれをわかれというほうが難しい。水野は睨まれている気がしていた。
「わ、若菜たちと一緒じゃないんだな」
ようやく水野が言えたのはそんな一言だった。 郭としては何やらまるで三人一括りで一人前とでも言われている気がしないでもなかったが、選抜練習ではことさら三人でいることが多いので、選抜でしか会っていない水野がそう思っても仕方ないと解釈した。 その間コンマ8秒。
「…結人と一馬なら、二人でジュース買いに行った」 「あ…そうか」
なぜか水野が顔を変にひきつらせた。例によって付き合いの長い人間ならそれが単純に話題が見つからなくて困っているだろうのだとわかるが、郭にはわからない。 そんな顔をするぐらい自分と話すのは嫌なのだろうか、と思っただけだった。
「…………………………………」 「…………………………………」
そして続く沈黙。 ぎこちないことこの上ない。
(…別にそんな嫌な顔しなくても) (…そこまで嫌わなくても)
お互いに嫌われているなあ、と同じ意味のためいきをついた。同時に。 自然と、顔を見合わせる。
「…………………………………」 「…………………………………」
顔を見合わせても、にこりと笑えないのは二人共通の性格だった。 容姿の造作は申し分ないのに、彼ら二人に圧倒的に欠けているのは愛嬌と愛想だ。本人がそれをさほど必要に感じていないのも同じだったが、相互理解不足の二人はやはり気付いていない。 ゆっくりと、お互いに不自然さを感じさせないように気を遣って交わった視線を外す。
((……早く現れてくれ、風祭))
潤滑油の存在を少年たちは本気で渇望していた。 正反対を向いた瞳は、お互いを見ていない。しかし背中の向こうの気配を鋭敏に感じ、意識は逸らさない。
背中合わせの少年二人。 明確で明朗なコミュニケーションは未だ遠い。
****************************** 笛的好きキャラ1位と2位。次点で渋沢先輩。 郭水でも水郭でもありません。この人たちはお互いを意識しあってピリピリとかドキドキとかして欲しいけど、あくまでもサッカーのみが共通項でいて欲しいのです。 まあ共通点といえば友達関係絶対深く狭く、というタイプだと思います、二人とも。 本人に友達を作る気持ちがないわけじゃないの。自分から周りを敬遠させるオーラを放ってることに気付いてなさそう、二人とも。要するにとっつきにくい。
えーと、林さんが王子様の続き(前回のミスフルパラレルの元)描くらしいですよ皆さん!(そういう意味だよね?)(私信) わー気になるわ葵王子! どうやってあの子をお嫁さんにするのかしら! 一方的読者として楽しみにしてますわーウフフ。
ああピースメーカーは期待しないほうがいいよ(いきなり冷静)。 どうでもいいがスクエニは合併したらゲーム業界のみならず、攻略系も独占かい。オマエんとこの出版部門ロクなの出さ(以下自主規制)。エンターブレイン頑張ってー!(ヒゲの社長頑張ってー) 二週間以上前にスターオーシャン3を買ったけど未だに取り説をときどき眺めてるだけです。
2003年07月03日(木)
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