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■ MofM
.......................あの女性(ヒト)には、俺がいないとあかんねや。
月がビロードの闇の頂を照らす頃、薄いレースのカーテン越しに覗く景色は、とても味気ないものだ。 隣で華奢な肢体をシーツに包み静かな寝息を立て、常に自らの心の臓を締め付けて止まない彼女に比べれば、外の肌を刺す寒さや凍て切った夜空に浮かぶ輝く星も、煌々と光る金色のまあるい月さえ思考の外に追いやられる。 窓を鳴らす風の音も、木々のざわめきもいらない。彼女がいれば、それが俺の景色であり、全てなのだ。 俺だけが知っていればいいと思う。眠りに落ちる寸前の僅かな瞬間に頬を伝う一筋の涙とか、はにかんだ笑顔や薬指のサイズに至るまで、誰にも知られたくない。
そう言ったら失笑された。
2006年11月09日(木)
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