恋愛日記



 愚。





な ん て 愚 か な 。





人形は僕を見て居る。
只強請るだけの、努力もしない僕を見て居る。
僕は子供だ。
子供だと、
そう自分を表現する事で、
自己暗示を掛け束の間の安堵感を得る。
子供だと、言い張る事で、
全てを許して貰おうとする。
武装しているのか、防波堤なのか。



僕は逃げる。
(何から?)
僕は逃げる。
(何処へ?)

繭へ、帰化する。



そうやって耳を塞いで
目を閉じて蹲っているうちに
一体どれだけの事を僕は見逃すのか。
そんな事を考えたとしても、
結局僕の天秤は
支柱からして曲がっているから
樂な方へと傾いてしまうのだけど。



誰か誰か。
支柱を直しておくれ、
繭を解いておくれ、
僕の傍に、居ておくれ。



他力本願な我が侭王子は
被害妄想に陶酔して
悲劇のヒロインになりきっているけれど。
自虐的になっている事に気付きもせず
自らの思考で自分を追い詰めているだけ。

滑稽な道化師は道化師のまま。
王子は幾ら愉快であっても王子なのだ。
もう得意となったものだ、
逃げるのも。
今では僕を誰も知らない。
全てから逃げて、
全てから忘れられて。
生きているのかも判らない。
全く、存在感が希薄だ。

そんな中、人形は僕を見て居る。
居なくなった僕を見て居る。
口の端を吊り上げて、

笑った。







2002年10月22日(火)
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