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■ 刹那。
もう無理かな、と。 呟く。
かさりと渇いた音がした。
まるで僕と君は酷似していた。 それでいて真逆でも在った。 似ていたからこそ、明らかに異なった。 互いに同じ時間を共用する事は滅多に無く、 気が付けば何時も、 正反対で在った。
もし思ったとしても、 太陽と月だなんて陳腐な言葉は口にしない。
嗚呼、君は、 僕の手の届かない處へ行ってしまった。 きっと其れは、 砂時計の様に元へと戻るのだろうけれど。 籠から開放されたなら、 其の殻が破れたなら、 外の世界を見ておいで。 僕が止める権利はこれっぽっちも有りはしない。 僕が所要っている物とすれば、 浅ましい嫉みと、鞄の中のチョコレィト。
さぁ見ておいで、 羽ばたいておくれ僕の分も。 目隠しをしている僕の目に、 晄が戻る其の時まで。 決して手綱を離したりはしないよ。 君は僕が目を醒ました瞬間に、 十二時の鐘を聞くのだから。
かさりと渇いた音がした。
其 れ は 僕 の 心 臓 。
2002年10月18日(金)
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