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しもさんの「気になる一言」
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2018年06月03日(日)
ええ、夫は忘れてしまいましたとも。で、それが何か?

書籍「長いお別れ」(中島京子著・文藝春秋刊・263頁)から。
知人の紹介で読み始めた、老いに対する向き合い方を
誰でもなりうる「認知症」を題材に描かれているが、
切ない・やるせない、という感情よりも、
しっかり繋がっている夫婦愛に心打たれた。
特に、少しずつ記憶を失くしていく認知症の夫に、
最後まで寄り添った妻の呟きに、感動してしまった。
「時折、意のままにならないことにいら立って、
人を突き飛ばしたり、
大きな声を出したりすることはあるけれど、
そこにはいつも何らかの理由があるし、
笑顔が消えうせたわけではない。
この人が何かを忘れてしまったからといって、
この人以外の何者かに変わってしまったわけできない。
ええ、夫は忘れてしまいましたとも。で、それが何か?」
何も知らない周りからは「あなたも大変ね」とか
「よく頑張っているわね」と言われたに違いない。
それを気丈に振舞う、妻の力強さみたいなものを感じた。
やはり「夫婦のことは、夫婦にしか分からない」
いや、そこに夫婦だからこその繋がりがあるから、
「夫婦」と呼ぶんだろうなぁ、きっと。



2018年06月02日(土)
勝利を決めるのは、民衆の行動だ

映画「アルジェの戦い」(ジッロ・ポンテコルボ監督)から。
1967年に日本初公開。製作国が「イタリア・アルジェリア合作」
当時は、ものすごく話題になったらしい。
2016年に、オリジナル言語版のデジタルリマスター版が公開。
これだけでも、好奇心旺盛の私は、興味をそそられた。
観賞後の感想は、よくフランスがこの作品を許したなぁ、だった。
フランスからの独立戦争を、アルジェリア側の視点で描いたこと、
それも、独立して間もない時期に製作されたこと、
まだ当時の興奮が続いている中での撮影であったことなど、
リアルすぎる表現に驚きを隠せなかった。
こんな台詞がメモされた。
「戦争も革命も同じだ」「テロが有効なのは、最初だけ」
「勝利を決めるのは、民衆の行動だ。ストの意味もそこにある」
「結果がどうあろうと、世界に我々の存在を知らせることはできるはず」
そして、この台詞で、幕を閉じる。
「革命を始めるのは簡単ではない。続けるのは、さらに難しい。
勝つのはそれ以上だ。
だが本当の困難が始まるのは、戦いに勝利したあとだ」
当時から「テロが有効なのは、最初だけ」という台詞を残し、
テロは、きっかけに過ぎないことを明言していることにも驚いた。
戦争映画って、どちらの立場で描くか、大事な要素だし、
是非、フランス側から描いた「アルジェの戦い」を観てみたい。



2018年06月01日(金)
1年ごとの老化は、こどもの成長と同じ。

ちょっと前に産まれた・・と思っていた子どもが、
久し振りに見ると、予想以上に成長して驚くことがあるね、
そんな話をしていたら、ある先輩がこう言った。
「男性の老化は、予想以上に速いよ、
特に、60歳から1年ごとの老化は、他人からもわかるくらい。
だから、誰が先生か生徒か、分かるうちに同窓会を開くんだ(笑)」
なるほどねぇ、それは名言だ・・とさっそくメモをした。
自分は、自分の容姿をそんなにじっくり観察することもないし、
家族だって、毎日顔を会わせているから、そんなに感じない。
しかし、1年ぶりにあった知人、友人たちは、その変化に驚く。
ただ口にしないだけなのかも知れない。(汗)
こどもの成長に驚くと同じように、高齢者の老化に驚く日も近い。
私の場合、60歳過ぎても、童顔は童顔だけど、
やはりその老化の速さは、自分が一番自覚している。
本を読んでも、映画を観ても、長い時間は集中できないし、
疲れまで残ってしまう始末だ。
これから、その老化を楽しみながら、歳を重ねて行こうっと。



2018年05月31日(木)
だから一緒にいくんだ、生きて戻れるように

映画「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」
(マット・リーブス監督)から。
名作と言われた「猿の惑星」をリブート(再起動)した作品として楽しめた。
リブートとは「フィクション作品において、
シリーズにおける連続性を捨て、新たに一から仕切り直すこと」を
意味する用語らしい。
単純なシリーズ作品だと、どうしても前作を観ていないと、
ストーリーが繋がらなかったりして、不完全燃焼になりやすいが、
この作品は、根底を流れるものは崩さずに置きながら、
前提知識なしでも、充分に理解できる。
「人類は絶滅危惧種」のテロップで、場面設定が理解できるし、
(猿のリーダーの)「俺が始めた戦争じゃない」の台詞1つで、
事の起こりも、なんとなくわかる。
メイキャップと、キャストの演技力で、引き込まれていく展開に、
さすが・・と唸るしかなかった。
人間との戦いに、猿のリーダーである「シーザー」が、
「俺は生きて戻れないかもしれん」と言い、
危険だから、お前たちはついてくるな、と他の猿に諭す場面がある。
その台詞を言われた猿たちが、こう言い返す。
「だから一緒にいくんだ、生きて戻れるように」
このフレーズに、ちょっと胸が熱くなった。
これだけでも、猿の方が強いわけだな、と感じてしまう。
人間に、こんな気持ちが残っていればいいんだけどなぁ。



2018年05月30日(水)
ただ電源の切り方を知らないだけなんですよ

仕事が終わってから「柳家花禄独演会」(落語)を楽しみに、
隣市の三島市文化センターまで足を運んだ。
彼の古典落語も好きだけれど、実は、新作が楽しみで、
今回は、どんな話だろう?とワクワクさせられる。
そんな独演会に水を差したのは、残念なことに観客だった。
開演前「携帯は鳴らないようにしてください」と、係の人が
何度も何度も注意したにもかかわらず、3人の携帯が鳴った。
それも、同じ人が何度も何度も・・(汗)
さすがに、彼も困ったのか、観客に向かってこう話しかけた。
「怒らないでやってください。
ただ電源の切り方を知らないだけなんですよ」と。
そうか、あの注意の意味がわからなかったんだ、と理解した。
高齢者の人は、携帯を持ってはいるものの、
「マナーモードへの切り替え」とか「電源を切る」ことは
ほとんどないので、操作が分からないと言うことだろう。
それにしても、3人目の高齢者の女性には呆れてしまった。
自分の携帯が鳴っていることにも、気付かなかったのか、
悪びれもせず、携帯を鳴らし続けた。
それがまた「人情話」の落語途中だったから、始末が悪い。
中断するたびに「えっと、どこまで話ましたっけ?」と
話をチョット前まで戻して、話し始めた彼に申し訳なかった。
「電話ひとつでメタメタになるんですよ」と笑いをとった彼に、
観客全員で、もっと早く何とかするべきだったな、と反省した。



2018年05月29日(火)
合唱って「惜しい」のはダメ、全然ダメなのと同じ

還暦にむけて、今までのメモを整理していたら、
数年前に合唱の指導をしていただいた先生の言葉が
なんと、楽譜の上にも走り書きしたメモが残されていた。
「人間は、とっても響く楽器」
「サックスをひっくり返したのが、人間の形」
「基本の音の上に、音がのっていく感じ」
「男は、声変わりしたら1オクターブ低くなる」
そんな、素人の私が「へぇ〜」って思うことや
「音楽は、エスカレーターと同じ。
同じ速度で動いているので、スムーズに乗ってください」
「メロディを歌う人は、バイオリンを弾くように歌う」
「音が伸びているときに、見透かされてしまう」
「ピアノとのアンサンブルが出来ていない」など、
的確なアドバイスも、とってもわかりやすかった。
しかし、一番印象に残ったのは、厳しいけれど
「合唱って『惜しい』のはダメ、全然ダメなのと同じ」。
和音が濁っていては、合唱になっていないということなのか。
きれいにハモった時の喜びを知ったから、
このフレーズの意味が、とってもよくわかるな。



2018年05月28日(月)
「DEAだ」「ATFだ」「州警察だ」「FBIだ」

映画「バリー・シール アメリカをはめた男」(ダグ・リーマン監督)から。
パイロットからCIAエージェントに転身し、麻薬の運び屋として暗躍した
実在の人物バリー・シールの話らしい。
いろいろな組織が、彼を捕まえようと動きまわり、身分を明かすシーン。
「DEAだ」・・「ATFだ」・・「州警察だ」・・と身分証明書なるものを
見せつけるが、その横からもう少し大きな組織が
「ちょっとまった!!」とばかり、声を掛けて割って入る。
そして最後には「FBIだ」の一言で、誰も文句を言わなくなる体制。
文字にして、その面白さが伝わるかわからないが、
「DEAだ」「ATFだ」「州警察だ」「FBIだ」、リズムさえ感じる面白さ。
日本でも、同じようなことがあるんだろうなぁ。
ストーリーには関係ないが、ちょっと気になる看板が・・(笑)
主人公が「ミーナ」という街に入る時に、見かけた。
「Welcome to MENA POP.2647」
訳は「ミーナヘ ようこそ 人口 2,647」となる。
「看板に、人口が?」というのが私の興味関心ごと。
日本だったら「いつ現在?」とか訊きたくなるし、
そもそも、増減の激しい人口なんかを、看板に書かないよなぁ。



2018年05月27日(日)
下山先輩、ご無沙汰しています

大学時代のゼミ生が、お世話になった先生の70歳を祝うので、
たまには東京に出て来ないか?と声を掛けてくれたので、
もうこれから、そう何度も会うこともないから・・と、
翌日、職場の健康診断だったが、上京することした。
集まったのは、私たちの代から3年間のゼミ生たち。
当時は、一浪・二浪して入学する学生もいたから、
大学の学年が下とは言え、年齢は私と同じだったり、
もしかすると、私より上だったり・・という後輩もいる。
さらに社会に出て、出世したりしなかったり、
多くの山アリ谷アリの人生を送ったはずの人達が、
一堂に会すると、途端に「先輩・後輩」の序列が出来上がり、
「下山先輩、ご無沙汰しています」となる。
こちらも、なぜか先輩風を吹かして、いい気分なのだが、
その時メモしたのは「先輩」という単語は、
「○○先輩」と個人名にも使うけれど、
「後輩」という単語は「後輩諸君」など、大勢に向けて発するか、
「後輩の○○です」と、紹介する時に使う、だった。
仕事では、役職で呼ばれることが多いから、
「下山先輩、ご無沙汰しています」と挨拶されて、
なんたが、ちょっぴり嬉しかった自分がいた。



2018年05月26日(土)
立小便は必ず、便座をあげてください

よく利用するコンビニのトイレで見つけたフレーズ。
「皆様のご協力で清潔に保たれています。
立小便は必ず、便座をあげてください。」
もう、笑うしかなかった。
だって、このお願い文からすると、
「便座をあげず立小便をする人がいる」ってこと。
それも、何度も、または数人いることを想像させる。(汗)
もちろん女性には分からないと思うが
「便座をあげず立小便する」ことは、とても難しい。
身体の中から一気に放出されるのではなく、
徐々に勢いが増していくので、至難の技に近い。(と思う)
そんな技をコンビニのトイレで披露するなんて、
是非、お目にかかりたい、と思ったほどだ。
さらに、お願い文を読むと、失敗していることがわかる。
違う理由で便座が濡れているんじゃないのかな?(笑)



2018年05月25日(金)
言葉を発するには・・ユリゴコロが必要なんです

映画「ユリゴコロ」(熊澤尚人監督)から。
なかなか難しい作品だった。(汗)
「ユリゴコロ」は「ヨリドコロ(拠り所)」の聞き間違い、
そう作品の冒頭で、説明しているのが可笑しかった。
子どもの言葉の発育に不安になった親は、病院へ連れていく。
そして、医者はこう伝える。
「言葉を発するには心が安全な場所で生きているというような
何らかのユリゴコロが必要なんです」と。
心の拠り所が「ある・ない」は、人間の成長にとって、
大きな影響を与えることに気付いた。
ところが、気になって仕方ないのが、いつものように
ワンシーンの小道具として用いられる掛け軸に書かれた文字。
きっと監督を始め、スタッフが作品の意図を組んで選んだ、と
勝手に決めつけているのだが・・。
今回は「雲蒸龍変」(うんじょうりょうへん)
英雄や豪傑などのすぐれた人物が、時運に乗じて出現し活躍すること。
雲がわき起こり竜りゅうが勢いを増して、変幻自在に活動する意から。
▽天に昇る竜は雲を呼び起こし、その勢いをさらに増すという。
「雲蒸」は雲がわき起こること。「竜」は「りゅう」とも読む。
これが、作品にどうかかわっているのだろうか、う〜ん。