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■ ずっと、目を背けていればよかった。
私の一人称は、いつも定まらない。 仕事の時や、友人と会話を交わすときなどは、 一貫して、「私」を使っているけれど。 脳内で変換されているのは、「僕」や「俺」だったりもする。 そのどれでも違和感なく使えるので、別段問題は無いけれど。 なんとなく、落ち着かない気分になる。
彼女は疲れているのか、僕を拒絶した。 …理由はわからない。聞けなかった。ただ、拒まれた。 僕らは何も共有していないし、何も分かち合っていない。 僕は彼女を知らないし、彼女も僕を知らない。 僕は時々、思う。 常日頃、僕が紡ぎだす愛の言葉は、 どこまでが真実で、どこまでが虚構なのだろうか。 それが、僕にはとても恐ろしい。
僕は彼女を愛しているのだろうか。 いや、そもそも僕は正常な感情を持っているのだろうか。 僕は笑う。泣きもする。怒りも感じる。 でも、どこかすべて、冷めている。 何もかもを諦めている。 まるで世捨て人のように、 自分の感情を認識してはいけないもののように、 感じている。 そう、感じることが多い。
名を呼ばれるのは、今でも嫌いだ。 …苗字はまだ、記号だと思えば我慢出来る。 だが、名前は…耐えられない。 己ですら呼べない。気持ち悪い。 それを過去の傷のせいにするのは簡単だけれど。 それすら、面倒くさい。 被害者面するのも、飽きたんだ。
けれど、記憶は確実に消えていく。 しかも、自分にとって都合の悪い記憶だけ。 自分の弱さに、反吐が出そうになる。 自分という人間の、核心に迫る部分は、 月日を重ねる毎に消え、今はもう、残っていない。 引き出そうと思えば、引き出せるはずなのに、 出てくるのは僕の頭がつくり上げた都合のよい捏造。 だから、もう、過去は持たない。 今を消化していくだけの、日々。 苦しい事は簡単に消える。 楽しい事も、日を重ねれば消えていく。 それを虚しい、と感じることも、もう出来ない。 せめて、心から笑えていた頃があったと信じて。 それに近づけるように、精一杯笑っていくだけ。
いつだって、疲れは取れない。 …本気で死に直面すれば、僕は心から生きたい、と願えるのだろうか…
2004年12月25日(土)
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