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■ いつか見たもの。
うずたかく積み上げられた、 判別のつかない死体が、死臭を放ってた。 一面真っ白な空間に、紅が点々としていた。 その真ん中に私がいて、 服も、髪も、腕も、 何もかも真っ赤に染めて、佇んでた。 鼻歌なんか歌って、歩いて見たけど、 行っても行っても死体しかなくて、 途方に暮れてた。 「全部、私がしたのかなぁ…」 そんな実感なくて、 身体も、ちっとも疲れてなくて、 「殺す」のはすごく苦しかったはずなのに。 それだけは、「こう」なった今でも、感じれてたはずなのに。 それも、なくなってた。
気が狂いそうになるけど、 狂う、ってよくわからなくて、 ただ、歩いてた。
何かに疲れたわけでも、 嫌になったわけでも、 とにかく、なんでもなかったのに、
なんでか、泣いてた。
なんでこんなことできたんだろう、 って、ちょっとだけ思った。
はみ出てたり、穴あいてたり、 なんか、ひどくて。
ちょっと、気持ち悪くて。 でも、吐き戻すものも何もなくて。
そういや、ずぅっとご飯なんか食べてないんだ…
て、思って。
栄養、薬で取れるもんね…
て、思った。
仕方ないから、うずくまって、 いつもするみたいに、ぼーっとしてた。
それが、夢だったのか、幻覚だったのか、 「起きた」私にはわからなかったけど。
鼓動がすごく早くて、 汗も、びっしょりで、 自嘲してて、悲しかった。
今になって、どうして思い出したんだろう。 自分を見失ったわけじゃないのに、 意図せぬ言葉が、ぽつっと出てきたりして、 あぁ、私まだ病んでるのかなぁ? なんて、思ったりした。
ただのフラッシュバックだ、と片付けて、 単調な業務に戻ったけど、 『やめろよ、てめえ。』 小声で、「私」がそう呟いたのが、わかった。 なんで。 もう、ないはずなのに。
どうしよう、どうしよう… ただ、怖かった。 何が怖いのかわからないけど、 本当に、ただ怖かった。
2003年09月25日(木)
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