Desert Beyond
ひさ



 同じ色

最近疲れてしまってなのか
書く事があまりないのか
日記から遠ざかってしまってる自分がいる。
単調な生活で刺激がなくて
悩みもあまりなかったりして
心は常に同じ色。

映画「Calle 54」を観た。
何人かのアーティストが次々に出てきて
生い立ちを語った後に
そのアーティストが演奏する、という内容。
ちょっとマニアなラテンがらみです。
信じられないくらいソリッドで
幾ら速く弾いていても
ハラハラなんてしないような
確固たるプレイを見る事ができて
かなり興奮してしまった。Michel Camilo。
映像がざらざらしていて逆に綺麗だった。
光の美しさやあたたかさが
ざらりとした質感で助長されていた。
僕が写真機を持っていたら
ここでシャッターを切る、という瞬間が
映像の中で沢山出てきた。

そういえば最近写真を撮ってない。
雨がよく降ってた頃に
白くて面白い雲がどんどんと浮かんで
それを写真機でもって捕まえていたけど
そんな雲がもう飛んでこなくなると
僕も自然に写真機を手にしなくなった。

家のこおろぎは3匹くらいになった。
たまに目の前を横切ったりする。
結構いきおいよくパチンと跳ねる。
まあいいか、と放っておいているんだけど。
しかし葉っぱもないのに
一体何を食べて生きてるんだろう。
今度えさあげようかな。
そこまでする事ないか....。

2003年09月30日(火)



 キャラメル青林檎

"Buena Vista Social Club"を観た。
若さと力を使った押し切る熱さじゃなく
ラテンにはこういう内面的な熱さもあるんだなぁ。
キューバのミュージシャン達のドキュメンタリー。

キューバの街並みは焦げ茶けていて
太陽の暑さと海の潮でいぶされたような感じ。
空が青い日も、雲っていて灰色の日も
独特の雰囲気があるように感じた。

小さ目の青林檎が
キャラメルにコーティングされていて
そのキャラメルに砕いたナッツがついてるのを
スーパーで買って珈琲と一緒に食べた。
キャラメルの甘いのと林檎の酸っぱいのと、
結構合うもんだなぁ、なんて思いながら戴く。

冬にはこの街の夕焼けを思い出すだろう。





2003年09月26日(金)



 台風、どこかに行った

3日雨がしとしと降って
今日は晴れだった。
今までどこに隠れていたものか
昨日の夜、かたつむりを沢山見た。
こっちのかたつむりって黒くて
小さくて貝殻が縦長の巻貝。
なんだか変な感じがした。

今日はサルサを聴いて夕方まで過ごして
イタリア料理を夕食にこしらえた。
昨日の夜からオックステールを入れた
ミネストローネを作っておいたので
ちょうどいい塩梅。

最近創造がコンコンと湧いてこない。
何でだろう。生活が暇で単調だからかな。
それともラテン音楽熱にその分
エネルギーみたいなのが行っちゃってるのか。

この前見たマンボキングスに影響されて
ちょっと昨日葉巻など買ってみた。
僕は煙草は飲まないんだけれど
ちょっと試してみたかったんだ。
中学生の喫煙みたいに。
前に葉巻を吸ったのは仕事をしてる時。
貿易課で働いていた時、
上司がどこかから戴いたと葉巻をくれて
あれが確かキューバ産だった。
いや、わからなかったねぇ。
そして昨夜、やっぱりわからなかった。
どういうのが良さなのか。
雰囲気は出るんだけど美味しくもないし。
チナミに葉巻は肺に吸い込まないものだけど
少しは肺に入り込んだみたいで
今日の昼に起きた時もまだ煙っぽくて
葉巻はコリゴリ、って感じだった。
あと二本あるんだけど、どうしよう。


どこか遠くに旅に出たい。
地図も見ないような旅で
どこにバスが走ってるのか
電車が走っているのか
そんな事もよくわからなくて
知りたかったら人に聞かなくてはいけない旅。
小さなテントを張ってそこに泊まり
スーパーで買ったものを
小さなストーブで料理して食べる。
夜は小さくて柔らかい火の焚火をたく。





2003年09月25日(木)



 長雨

メキシコから北上してきた台風のせいで
昨日の朝からずっと雨。
しとしとしとしと
止んだと思ったらまた降り出す。
雨のせいで湿気が出て少し嫌な感じだけど
雨の音を聴きながら
カフェミュージックなどを聴いて
珈琲なんか飲んだりすると
あまりにもユックリとしていて心地良い。

こおろぎはちょっとずつ移動しては鳴く。
この前は道具入れ用のクローゼットの中
おとといはテーブルの書類のかげ
昨日はシャワールーム
今日はレコードプレイヤーの横から
りりりりりりり.....

こんなに雨がしとしと降っていて
まるで日本の長雨だ。


2003年09月24日(水)



 秋模様(一寸)

ラテン熱はちょっと落ちついてけど
より確固たるものになった。
マンボ、サルサ、ブーガルー、チャチャチャ、ルンバ、サンバ、ショーロ、とにかく何でも聴きたい。

メキシコから台風が北上してきてるみたいで
今日は一日雲でおおわれていた天気。
雲のせいで夜になってもちょっと暑い。
でも喉が渇く。
雲のおかげで夕焼けは綺麗だった。
オレンジ。
秋の模様だった。

ラテン熱のせいで「マンボキングス」という映画を知ってそれを観てみた。
アントニオバンデラス。
カッコイイだけじゃない映画だった。

この前、友達の誕生日で
自分でデザインしたティーシャツをあげようと
プリントアウトしようと思っていた矢先に
プリンターが壊れてしまった。
電源がつかない。うんともすんとも言わない....。
たぶんどこかがショートしてしまったんだと思う。
21歳だという事もあって
結局は白ワインを買って行ってプレゼントした。


2003年09月22日(月)



 焚火

おととい、砂漠にキャンプに行ってきた。
この街から一番近いキャンプ場なのに
今まで一度もキャンプした事のない場所。
何故ならばそこは砂漠の真ん中だから。
湖も川もない。
特に今の季節、日中そこでキャンプするのは
あまりにも暑過ぎて危険なくらい。
だから日没に合わせて行った。
今回の目的は月を見ながら焚火。
テントを張る前に「あ、とかげだ」と思ったら
それはサソリだった。
サソリが実際外を歩いているのを見たのは
初めての事で、あんなに速いとは知らなかった。

西の空も暗くなった頃
テントを張りながら空を見上げると
綺麗な天の川が見えた。
空が澄み切っている証拠だった。
持っていった炭で用意していった焼き鳥を焼き
ちょっとすると東からかけた月が昇ってきた。
食べ終わった頃に薪を一本くべて
ユックリと焚火を始めた。
1本ずつ薪はくべていったんだけど
3本燃え終わる頃には
サソリ座は西に沈み、北斗七星も消え
火星はずっと西に傾いて
月も気持ちてっぺんより西にかしげた。
その頃には友達はみんな寝ていた。

今回、杉の薪三本しか持っていかなかったから
少ししか焚火はできないと思っていたけれど
全くそんな事はなかった。

村上春樹の短編で、焚火の話がある。
海の流木を焚火にして
このうえなく上手に焚ける人が出てくる。
ここ2回くらいのキャンプで
その短編小説に出てくる人がするような
上手な焚火の仕方がわかってきた。
火がとてもゆっくりと薪を包み
柔らかく周囲に熱を伝えながら
たまにパチパチと言わせて燃えていく焚火。
焚火というのは技術とかじゃなくて
火がまわっていく感覚を持てるかどうかの方が
大事なんだなぁとわかってきた。
この薪を少し上に上げてあげると
ほんのちょっとだけ火が元気になるとか。
3本の薪を燃やす火は僕の気持ちとリンクしていた。
そんな感じがする静かな焚火だった。

朝、散歩をしている時
ガラガラヘビがねそべっていた。
50センチくらいのダイヤモンドバックス。
近づかなかったのでガラガラされなかった。
太陽が上がるとみるみる砂漠は熱される。
目玉焼きとベーコンをクロワッサンに挟み
それを食べるとすぐにキャンプ場を出た。
そんなキャンプだった。


今日Groundhog Dayを見た。放題「恋はデジャ・ブ」。
僕はかつて有楽町か何かでこの映画を観た事がある。
大好きな映画なのにProfileには書き忘れていた。
こんなアメリカっぽくて、汚い冗談がなくて
ほほえましいような映画ってあまりない。
今日も笑ったり少し哀しくなったり
微笑んだりしながらテレビにヘッドフォンで鑑賞した。

どこから迷いこんだのか
このアパートの中のどこかから
コオロギが鳴いている。
り、り、り、り、り.....

2003年09月15日(月)



 懐かしのルートビアー

アメリカに初めて来たのが、かれこれ8年前。
その頃はビリー・ジョエルをよく聴いていた。
ある時、寮の自動販売機の「Root Beer」
という飲み物に目が止まり
あっ、これはビリージョエルの
"Root Beer Rug"って曲のルートビアーだ!
なんて思ってちょっと買ってみた。
その曲を思いながら口にしたその飲み物
まるで毒薬かのように不味かった。
頑張って頑張って半分近くまで飲んだけれど
後は捨ててしまった。
僕は食べ物飲み物は残さない、
という古き良き日本人気質なので
このジュースを飲み切れないというのは
その時の僕はかなりの打撃を受けていた
という事になるのです。

何故いきなりこのような事を思い出して
この日記に書いているかというと
今僕はそのルートビアーを飲みながら
小意気に日記をしたためているから。
しかもあの時捨てたのと全く同じ銘柄。
「A&W ROOT BEER」です。
アメリカに来るまで着色料を使ったものは
断固食べない飲まないを貫いてきたのに
今となってはコーラもジェリービーンも
ルートビアーもオリーブもへっちゃら。
それを思うと飲食生活では
かなりアメリカナイズされてしまったなぁ
としみじみと思っている今日この頃です。

そろそろパッキングをやりだします。
日本に帰る為です。
今日、箱を沢山もらってきた。

さっき、夜中過ぎに街の北の方の
大きいスーパーに行った帰りに
運転していたら東に「すぅーっ」と
ゆっくり流れ欲しが落ちて行くのを見た。

真心ブラザーズの「真心」。(favorite)
All Repeatにしていると
隠れボーナストラックの最後に
外国人: "What's the next song?"
Yo-King:"流れ星!!"
そしてすかさず一曲目の「流れ星」が流れ出す。
粋な仕掛け。




2003年09月11日(木)



 コヨーテ

今日はコヨーテを見た。
ちょこちょこと捕まらない所まで
歩いていってから、そこでジッとしていた。

明日は満月か。
今日の月はとても眩しい。
薄いのに柔らかそうな雲が時々かかっても
雲を通して月がちゃんと見える夜。
少し離れた所に火星が見えて
月見と洒落てみたい今宵。

2003年09月10日(水)



 マンボッ!!!

高校一年生の頃。
深夜テレビで東京パノラママンボボーイズの
「パチンコ」のPVを見た。
数年前、再来のパラダイス山元
これも深夜番組「ラテン専科」。
それからも「Shall We Dance?」の
ボールルームのシーン。バックバンドでチラリと山元。
因みにボーカルは清水美砂だった。
ラテン音楽で胸踊ってはいたものの
今まであのキューバ周辺を見て見ぬフリをしてた。
高校1年の頃からと考えると早13年か。
フツフツと心のどこかで煮えたぎったラテンへの情熱。
ついに爆発してしまいました!!
周りに引かれるくらいの勢い!(実際引かれてる。)
コンガをすぐにでも購入したいくらいの勢い!
コンガなど買うお金も余裕もないので
取り敢えず基本の叩き方を覚えて
家にあるものを叩いてみたけど良い音が出ない。
机、鍋、フライパン、ハードカバーの本、
プラスチック製の整理棚、テレビ。
駄目だ....。という時に目に入ったのは
大事なクラシックギター。
これを裏っかえして叩いてみると
これまたマンボな音が出たもんだ。
あまりに良い音が出るので色んな曲に合わせて
調子にのってずっと練習してたら右手の指の腹が
夜になるとアザになっちゃって痛い。
ここまで読んでくれた人のほとんどは
たぶん引いちゃってる事でしょう。
いいんです!!
好きなんだ、マンボ!!好きなんだ、ラテン!!


ガラリと落ち着いて、
友達から電話がかかってきて
月の横に火星があって綺麗だから見なさい、と。
麦茶を少し飲んでから外に出てみると
なるほど、綺麗だ。
昨日の晩、街の北の丘まで夜景を見に行った。
この街の街頭はだいたい黄色なので
そういった色の宝石をばらまいたようで
北の山は月明かりに照らされて
山肌を綺麗に見せていた。

2003年09月08日(月)



 群青色 / 暇な夜

海の夢を見た。
群青色の透き通る海。
岩た沢山あって、水中眼鏡を買った。
でも僕のだけシュノーケルがついてない。
水に潜って中を沢山見たかった。
鯛みたいな桃色の魚が泳いでいたよ。
思ったより上手に、長く潜ってられた。
日本のどこかの海だった。


今日も暑い。冷房がよくきかない。

起きてからBossa Novaなどを聴きながら
西の窓から部屋を優しく満たす
透明というよりも青っぽい昼の光で小説を読んだ。
ベッドに寝っころがってジッとしながら
小説を読んでいると、
これは実のところ夢の続きで
僕は綺麗な海の中にいるのではないか
と思うくらい静かで淡くて綺麗だった。

僕はごく最近まで群青色というのは
ものすごく濃い青だと信じてきたけれど
実際日本の伝統色でいう群青色というのは
淡い青だという事がわかった。
「瓶覗」という色などはもっともっと淡い。

午后はダレてしまう。
相変わらず冷房は大きな送風音だけ出して
役に立っているのかどうかもわからない。
暑い、と感じるからには役に立っていないのだろう。
いっその事止めてしまって
涼しげな音楽をサラリと流した方が
結構涼しい気分になったりして、と考えた。

さて、昼下がり。何をしよう。

*************************

モールに行くのを断わって
韓国料理を食べに行くのを断わって
他の友達とビールでも飲みながら
アメリカンフットボールを見るかと思ったら
友達は誰も都合つかず
結局一人でテレビを見る事になった。
今日のアメリカンフットボールは
アリゾナ大学対ルイジアナ州立大学。
僕のアパートから歩いて3、4分の所になる
巨大なスタジアムでやっている。
キックオフまでの2時間くらい
ぶらぶら、うろうろとして過ごした。
外に出て、空の写真を3枚くらい撮った。
ルートビアーを1缶飲んだ。甘い。
日が暮れて、ようやくキックオフ。
寂しくポツンと一人でスポーツ観戦。
ビールはもう飲み終わってしまった。
しかもCats(アリゾナ大学の愛称)の調子がすこぶる悪くて、もう24対0だよ....。
CMはうるさいので音を消してしまうと
スタジアムの方からアナウンスやら
歓声や花火の音が聴こえてくる。
西の窓から入る風は雨の匂いがした。
雨が降るのだろうか、と外に出てみた。
水色と白のビーチサンダルを履いて。
スタジアムはこうこうと光っていて
そっちの空も西の空も雨雲なんてなかった。
この雨の匂いはなんなんだろう。

僕は暇のまま今晩を終えるのだろうか。
寂しい土曜日。

2003年09月06日(土)



 2000年の国税調査ティー

そういえばこの前、アパートのドア問題(閉まらない開けられない問題)をアパートのマネージャーに伝えたのでようやっと紙ヤスリマシーンを携えて中国人のおじいちゃんマネージャーがやってきた。はぁはぁというかぜぇぜぇと息をしていて、すごい汗なので麦茶をご馳走してあげたら美味しそうに飲んだ。おじいちゃんは手際が悪いのでちょっと時間がかかったけれど何とかドアは開けやすく閉めやすくなったよ。その時おじいちゃんが着ていたT-シャツの背中に「2000年の国税調査に参加しましょう」って日本語で書いてあって、その下に色んな国の言葉で同じ事が書いてあった。おじいちゃん、そのティーシャツどこで貰ったの?

2003年09月04日(木)



 夏、そうめん

起きてからゴミを捨てに外に出たら
目が潰れそうになる程眩しかった。
実際サングラスなしで外に出かけて
家に帰ってくるとしばらくは
目がぎんぎんと痛い感じ。危険。

昼食。アース(Earth, Wind & Fire)の
「Gratitude」という2枚組を聴きながら
そうめんを食べるというフォンキーな内容。
やっぱり夏の昼食はそうめんに限る。

2003年09月03日(水)



 ふふふ、40ドル。

授業には登録していないけれど
もぐって電磁気学のクラスに
火曜日と木曜日に出席している。
僕はコンタクトをしばらく止めているので
眼鏡で外をうろうろとしているんだけれど
この街でサングラスなしというのは
かなり致命的だという事を再認識。
家に帰ってくると外の眩しさのせいで
しばらくは家の中が暗くて苦労するくらい。
白内障の元にもなるし、
本当はコンタクト+サングラスがいいんだけど。

古本屋に本を売ったら40ドルも儲けた。
お金で渡されるのではなくて
そこの古本屋で使えるクレジットとして
40ドルが加算される訳なんだけど
レコードも置いてあるので買い放題。
レイパーカージュニアのゴーストバスターズの入ってるアルバムを買ったよ。古〜。結構音的にキツイ時代。
"A Woman Needs Love"という曲がいいので。

今日は派手じゃないけれど
細かい雲が集まって、水色の空にそこここと
向こーうの方まで続いていて
空の高さと広さがわかるような綺麗さだった。

2003年09月02日(火)



 Without You

今日はLabor Dayで休日。

また塾で教える夢を見ていた。
U2の曲で夢の縁から浮かび上がらされ
次の曲のイントロでボーッと目が覚めた。
モトリー・クルーの"Without you"。
隣のアパートの住人がかけるラジオが
少し開けた僕の部屋の窓に入りこんでくるのだ。
薄いカーテンが風にひらひらとして
光の具合が変わっていく。
懐かしいその曲は聴いていた頃、
高校一年生だった頃を思い起こさせた。
"Without you"が終わってしまうと
がりがりとしたハードロックが流れ出したので
起きたてのデイドリームはそこで終わった。
僕は窓をしめて全くきかないクーラーをつけ
シャーデーのレコードをかけた。
そんな一日の始まり。


2003年09月01日(月)
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