空虚。
しずく。



 なか。

自分の中が淀んでいくのがよくわかる。
周りの人間が、あの人が、気にいらない。
わざと冷めた目をつくって、世界を斜に見る。
思い上がりだろうと、理解している。だから、いいんだ。
そんな理屈をこねて、これ以上何も思わぬように、外を見る。

外だろうが、中だろうがお構いなしだ。
手が動く、声が漏れそうになる。たたらを踏んで、堪える。
視界が染まる。口内に血の味が満ちる。
ふらふらと、誘われるように死にたがる。
この身を差し出せば、どれ程気持ちのよい事だろう。
死にたくなどないのに、その刹那にだけ、屈してしまいそうだ。

全てが、嫌になる。誰でもいいから、殺したくなる。
肉に刃を突き立てる感触を思い出しながら、幻覚を見る。
疲れる事も出来ない。あくまで正常なまま、ありえないものを見る。

それはひどく気持ち悪いと思うが、生唾を飲み込むことで耐える。

耐えてばかりだ、不条理だ。何故、こんな事を思わねばならない。
そもそも、何故私は人を傷つけたがるんだ。殺したがるんだ。

考えたくとも、その頭が残されていない。
繰り返し、繰り返し。何度も、手を変え、品を変えて。

私の中に逃げたいけれど、それだけは許せないと踏みとどまる。
耐える以外に、何が出来る。解放するには、私が死ぬか、誰かを殺すかしかないのに。

ぶつぶつと、座り込んで呟き続ける。
誰にも気付かれないよう、一人になった時だけ。
後は全部虚構で、構わない。

…もう誰にも、関わりたくない。
理解される事も、面倒くさい。
何も知らないままの方が、このままを続けられる。

だから、助けを求める声は殺す。どこにも救いはないから。
私以外に私を助けられる人間はいなかった。また、傷口を抉られるのは嫌だ。
もう、動けなくなるわけにはいかない。

大したことじゃない。耐えられる、壊れるまでは耐えられる。


今更何弱音を吐いてるんだと、思うけれど。
…ここにだけは真実を記す事を許される気がする。
誰も私を知らない、ここにだけ、自分を吐き出させて欲しい。
そうすれば、僅かの間、私は自分でいる事が出来る。

いつまで隠せるだろうな。いつまで、続けられるだろうな。
昔は怖いと思えたのに、もう、薄れてしまった。
それを望んだのだから、仕方ないけれど。

生きる。だから、それでいいよね…

2005年11月18日(金)
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