空虚。
しずく。



 月光。

"何かを期待することで 時にすれ違うけれど"
"無心に与えあい続けることは 夢の道端に咲く花のようだ"
"誰にできることなのだろう"

"ひとつの思いだけを貫こうとすればするほど"
"愛とはほど遠い力に 激しく揺さぶられる"

(月光/B'z)

夜の街は冷える。
少し、寄り道した私。
借りていたビデオを返しに行かなきゃ。

道行く人はコートを着込んで寒そうに歩いてる。
・・・私は全然、寒くない。
コートの下はブラウス一枚。
首元にマフラーは巻いているけど、
あまり長い間巻いてると吐き気が起こるからすぐ外す。

(なんで、寒くないんだろう?)
風は胸元に吹き付けてくるし、
手はかじかんで真白になってる。
だけど・・・なんで、寒くないんだろう?

月は出ていない。
だけど、何気無しに空を見上げる。
すっかり癖になってしまったこの仕草。
別に、何が映るわけでもないのに。

「何も、映るわけないのにね。」

自嘲を作ってみても、虚しい。
だけど、"前"の私ならきっとこう笑った。
かつての自分をなぞっても、今の自分が感じるわけじゃない。
けど、なんとなく、そうしようと思った。

どんなに身体が冷たくなっても、
心がそれを感じなければ、抱きしめて欲しいなんて思わない。

そんな望みなんて、抱くものじゃないのにね。



あの時私は言ったよね。

「今の自分・・・どんな顔してるんだろう・・・。」

それにすぐ、こう答えてくれたあなた。

「しずくの顔に決まってんじゃん。」

拍子抜けた。

そのまま、私笑ったよ。

それに、すごく気が楽になったんだ。

だけど・・・今の私を見ても、あなたはそう言ってくれるかな。



2002年01月09日(水)
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