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■ 夢。
私が見る夢には、いつもかならずあるものがある。
血液と、死体。
時にそれは、大量だったりもする。 けれど、必ずその中には"あなた"がいる。
子供の頃に見た、誰かに追われる怖い夢。 泣きながら走って、捕まった所で目が覚める。 だけど、時には覚めることなく、続きを見る事がある。 良かったことなんて一度だってない。 喰われる、殺される、犯される。 その、どれかだった。
けれど。 それが、ある日逆転した。 追われる者から、追う者へ。 殺される者から、殺す者へ。
夢の中の私はジェノサイダー。 ただ、周りの人間を殺していく。 そこに"在たから"という理由だけで。
家族、友人、他人。 そして、あなたでさえも。
死体の山の中、見渡す限りの紅。 私は歌を口ずさみながら、ただ、佇む。
笑うでもなく、泣くでもなく。 すぐ側の、動かないあなたを見つめながら。
目が覚めても、残っている感触。 あなたの冷たい手。ぬめりを帯びた身体。 抱きしめた時の、少しだけの恍惚感。
「(ほんとは、ずっとこうしたかった?)」
手に残った血の匂いを、 思いと共に振り払って、カッターを取り出す。 その刃を軽く滑らせるだけで流れるのは、夢と同じ、紅。
だけど、自分じゃ、ダメ。 やっぱり、あなたなんだ。
殺せば、解かるかな? あのすごく不思議な、気持ち。
行き着く思考は、いつもそれ。 このままじゃ、本当に・・・まずい。
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殺せば、もう誰も見ないよね。 ずっと抱きしめててもいいんだよね。 ああ、ちょっとぞくぞくする。 きっとすごく綺麗なんだろうな。 殺したいな。あ、でも殺す前にもう一回抱きたいな。 だって、死んじゃったら喘いでくれないでしょ?
ただの、モノでいいから。 喋らないけど、笑わないけど。 それでもいい。もう、それでいい。 私しか見る人いないもの。 私しか触れる人いないもの。 ずっと欲しかった、生きてるあなた。 だけどもう、真っ赤に染まった"モノ"でいい。
手に入らないんだったら、奪わなきゃ。 ね、もう何もわがまま言わないから。 最後に、一番欲しいものちょうだい。
もう、笑ってなんて言わないから。 もう、抱きたいなんて言わないから。
死んで。
ただ、それだけ。
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2001年12月12日(水)
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