空虚。
しずく。



 見えない記憶。

狂いかけた。
原因は解かってる。
ほんの少しの時間だけど、父親と出掛けたからだ。
愛さんが出てくれていたけれど、それでもダメだった。
空気とか、雰囲気が流れ込んでくる。
自分がいるこの空間も、決して落ち着く場所じゃない。
一人、壁を見つめ、殴ってた。
真っ白い壁。大っ嫌いな色。
瞬間的に「染めなきゃ!」
そんな、思いがよぎる。

紅く。
全部、紅く。
私が、昔、したように。

そんな記憶、ないのに?


紅く染まった白い壁。
自分が着ている白い服も紅く染まってる。
笑いながら、泣きながら。
ひたすら自分を傷つけて。

この色が、嫌だから。

視線を感じて振り返り、
ガラス越しに垣間見えたのは、
銀色の髪をした、綺麗な女の人。


"誰?"

"どうして、そんな瞳で見るの?"


そのまま、何も見えなくなった。

これもやっぱり、夢なのかな?

2001年12月10日(月)
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