空虚。
しずく。



 見えるモノと、見えないモノ。

幻覚を見る。
あなたを、殺す幻覚を。

ある時は首を絞めて。
ある時は突き落として。
ある時は刃物を突き立てる。

そのどれでも、私は何も感じない顔をしてる。
あなたを殺す時くらい、笑えればいいのにね。

もう何回見ただろう?
この間から、ずっとだ。

今、ね。
すごく逢いたい。
あってすぐにでも抱きしめて、感じたい。

だけど。
逢っちゃ、ダメだ。

私は、殺すから。

逢っちゃダメだ。

私が、壊れるから。

逢いたい。
逢いたくない。
逢いたい。
逢えない。
逢いたい。
逢っちゃ、ダメなんだ!

前にも一度、人を殺しかけたことがあった。
弟だった。馬乗りになって、首を絞めた。
彼の瞳に映ったのは、恐怖。だった。
そりゃそうだよね。姉に殺されかかってるんだ。

私は、どうしてたんだろう?
ただ、ぼんやりと苦しむ弟を見てた。
何も感じてなかった。それは"情"がないのかな?

だけど、どうしてか解からないけど。
殺さなかった。・・・殺せなかった?

だけど。今はダメだ。
間違いなく、私はあなたを殺す。
幻覚と同じように。何も感じない顔で。



もしも、いっこだけ。
"ねがい"が、叶うなら。
何を、望む?

あなたに・・・。
私の、愛する人に。

殺して欲しい。

そしたら、きっと私は笑えるから・・・。


2001年11月10日(土)
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