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re-invention



 十年経っても苗木

今日は東京へ。
日本教育工学振興会の
第10回コンピュータ教育実践アイディア賞の表彰式
3年前の生徒達にプレゼントしてもらったネクタイで。
陰山先生が発起人となっている教育再興連盟のイベント,
教育夏祭り2007「子どもを伸ばす「授業」大集合!」
の中で行われるとのこと。
いろいろな組織が,企業が,教育に絡んで動いている。
とはいえ,このイベントとは直接絡んでいない感じで,
ちょっぴり残念。

表彰式では副賞として,
パナソニックからワイヤレスプロジェクタをいただけるとのこと。
2年前にモニターとしてお借りしたときには
画像が暗く,ファンの音が気になったことを思い出した。
2年間でどう変化しているのか楽しみ。
そして,mimioとの相性も。

場所を移して,小さい教室でのプレゼン。
何度目かのプレゼンになるが,10分間があっという間。
でも,思いは伝わったはず。

文部科学大臣賞の先生の実践は,なるほど。
歩幅の速度測定をグラフ化する具体的な実践。
データに基づいて生徒が納得し,自分の能力を高めていく
科学的な研究だった。
こんなことを部活動でもやってみたいもの。

審査委員長の山極先生からは,
教科は数学なのだが,物理の落体の実験。
y=4.9t^2であることを,
学校の校舎や廊下を使ってのダイナミックな実験。
アメリカなら数学実験がある。
実感を持って数学を理解させる,新しい数学だった。

と,講評していただく。
会長の坂元先生からも,「楽しい授業ですね」と
直接お言葉をいただく。

最後の名誉会長の宮島龍興先生のお話に撃たれた。
・アイディア集を出すことを初めて15回,賞を出して10回。果たして今までのような考えで続けていっていいのかと思った。アイディア集を見ると非常に面白いが。
・アイディアは苗木だと思う。でも,十年経っても苗木じゃないかという気がする。苗木が育って森林になっている気がしない。アイディアという言葉が良くなかったかな?アイディア・・思いつきみたいな感じ。思いついた人は上手いことをやっているが,人の真似をしたらダメみたいな。
・思い出すのは,二宮金次郎の話。前は小学校に薪を背負っての石像があった。でもどうもそういう人ではなかったらしい。その小説の中に,殿様から金を引き出して,それを下級武士に貸した。利子を取って。下級武士は内職をして日々過ごしている。そういう人に,保証なしに金を貸した。内職をするとき,最初にいい道具や材料を買って能率が上がる。それでちゃんと返してもらえた。担保は取らずに十分に下級武士の生活が潤った。
・昨年のバングラディシュのノーベル賞を取った,経済学の方。恵むのではなく,担保なしに困ってあれば有効な金を貸して,生活が自立できるようなものをしたら・・女の人の人権が認められていない国で。自分のものもない。仕事をするのに必要な資金がない。そういう人に,わずかな金を貸して,そういう人が絶えず連絡し合って,貸した側も指導をして,わずかな金が生きて,そこから年に10%の利子が払えるぐらいの貧乏を克服したとのこと。
・私たちがアイディア集を考えたのはそういうもの。働く意欲はあるけれど金がない。担保もない。そんな人に金を恵むのではなく,それが十分生かされるようなシステムを作って・・・という貧困は世界各地にある。日本にもある。今でも。その貧困の在り方は違うけれど,貧困をなくす方法を考えた場合に,マイクロクレジットという考え方で,それがノーベル賞だった。金治郎が生きていれば,彼だったんじゃないか。芽だけで終わらずに,
・金次郎は今から一世紀前の人。今,教育の面で新しい工夫をされている。でも,それを大きく成長されるようなアイディアは何だろう。恵むのではなく,それが生きるようなものに皆さんを誘い出していくものは何だろう。去年のこの会でも,兵庫県の方が,海でいろんな小動物がどんなはたらきをして環境を浄化しているのか,浅瀬,干潟で生物がどんな生活をして環境浄化になっているのか。そういうのをコンピュータで調べた。生徒がみんなで。それを里山では,どうなるのか。ぐたいてきにどれがどんな役割で,おいしい水にしてきているのか。微生物たちが・・・と考えれば海での研究が山の研究になる。それぞれのアイディアを出した人が,他に生きる。みんながそれを認める。先生も教育の効果がある。それが,教育界に広まることで,教育そのものが面白いやりがいのある仕事になるんじゃないかと思う。学問の世界では学会がある。論文を出す。教育現場でも,実際新しいアイディアを出して,それが,誰がやったより,子どもが変われば満足だろうけど,教育というところに波紋を広げる方がいいこと。苗木ではなく森を育てることだ。
・気になったのは,誰のアイディアを使って・・・という引用がないこと。新しいのはいいが,見かけだけ新しいのがいいのではない。良いものを使うことが,立派なアイディアとなる。一発のアイディアで終わるのではなく,それが浸透することが大事ではないか。その手始めとして,ある先生がいいアイディアを出して面白い授業をされたら,そのアイディアをくんで,他の先生がどこまで実施されたのか。それが広く伝えられたら,アイディア賞の対象になるんではないかと思っている。学校の中で,アイディア集の中で,掲載された仕事をされたことが,その後どう発展したか,学校としてのアイディアに対する努力を学校賞として考えている。その考えを小冊子にした。もっと大きく発展させることを皆様に考えていただきたい。


ITを活用した授業がなかなか広がらないことを,
半ばあきらめていたが,
こういうことをメインに研究助成を受けてみようと思う。
それなら,お手伝いできるのではないかと思う。

副賞の賞金は,
宮島先生個人のポケットマネーによるものとのこと。
帰宅して,さっそくどんな方なのかを調べ,
ご著書をネットで購入する。

さあ,明日からはあすなろで
「グラフ電卓を活用した授業づくり研修」だ。

2006年08月05日(土) 迷っていては進まない
2005年08月05日(金) 日数教長野大会初日
2004年08月05日(木) 論がない


2007年08月05日(日)
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