今シーズンのグランプリシリーズ、そしてグランプリファイナル辺りからうっすらと頭の片隅にあったのだが、この前の全日本選手権ではっきりと自覚した。
フィギュアスケートが面白くない
先シーズン辺りからのルール改正(改悪)で、回転不足がじゃんじゃん取られるようになった。ロングエッジ、つまりジャンプの際の踏み切りのエッジの使い方も厳しく取られるようになった。 フィギュアもスポーツなんだから、技術を正確に、という姿勢は分かる。それには賛同する。
だがしかし。
肉眼で見て回転が足りてる・スロー再生で見てもこっちの角度から見たら足りてるように見えてる(解説者が「今のは足りてますね」と言っていても、実際のジャッジでは不足になっていることがよくある)ものも、多角度から見て少しでも足りてなければ回転不足と判定するのはいかがなものか。
それだけならまだしも、例えば3回転ジャンプの回転不足と判定されたとすると、「できの悪い2回転」となり、3回転からのマイナスではなく、2回点からのマイナスとなるってのはどーよ? コンビネーションジャンプの2回目のジャンプが回転不足とされると、単独ジャンプよりも点数が低くなることもあるんだよ。
そらぁ怖くて3回転ー3回転なんて跳べなくなるわな。3回転ー2回転を確実に跳んだ方が点数が圧倒的に良いんだから。
このルールのおかしな点がさらにあって、「回転しきっていれば手を付いても、転倒しても認定される→3回転からのミスに留められる」ということ。
一口に3回転ジャンプと言っても6種類あって、当然難易度が違うわけ。 最高に難しいのはアクセルジャンプで、ルッツ、フィリップ、ループ、サルコウ、トゥループのと続く。
ちなみにショートプログラムでは、規定でダブルアクセルとステップからの3回転、3回転からのコンビネーションジャンプをそれぞれ1回ずつ入れなくてはいけない。トップスケーターたちは、この3回転にルッツやフィリップを持ってきている。全日本では下位グループのスケーティングも観たが、トゥループやサルコウだった。やはりこういうところが上位と下位の違いなんだと思った。
閑話休題。 コンビネーションジャンプの2回目3回目は、ループかトゥループが用いられる。当然、ループを持ってくるほうが難易度は高い。しかし、難易度が高いということは「回転不足を取られやすい」ということだ。 なので、例えば3フィリップー3ループをクリーンに降りてもループがほんのわずか回転不足とジャッジされれば、3フィリップー3トゥループでバランスを崩して降りてきたりお手付きをしたりしても後者の方が得点が高くなってしまう。
どうです? フィギュアが面白くなくなってきたでしょう? クリーンに降りて、肉眼や1つのカメラのスロー再生で見ても回転が足りてるように見える難易度の高い3回転ジャンプをしてる選手よりも、目で見てはっきりよろける・手を付くなどしてる難易度の低いジャンプをしてる選手や2回転の選手の方が高得点。
これ、はっきりいって浅田真央の独走をつぶす作戦なんだと思う。 今まで回転不足を取られてなかったジャンプがどんどん認定されなくなってきている。せっかくトリプルアクセルを2回入れても、「トリプル」と認定されなければ「できの悪いダブルアクセル」なのだ。
真央ちゃんは本人比で毎年レベルの高いことに取り組んでいるし、ジャンプ以外のところでは確実に成長している。 なのに、得点は低迷している。一時期200点も超えるか(全日本では200点越えしているが国内大会なので参考記録)といった勢いがあったのに、今は180点越えるのがやっと。
いやね、それでもいいのよ。ジャッジが公正ならば。 回転不足を取るなら全員同じように取れよ。ロングエッジ判定するなら、全員同じように判定しろよ。 でもそうじゃないところが納得できねぇ。
さらに今のルールの曖昧な所。「加点システム」 各技の「できばえ」によって加点がつけられるのだが、これもジャッジのさじ加減ひとつなんだよね。 グランプリファイナルで、真央の「イーグルから入って、着地後にそのままステップに繋げているダブルアクセル」とキムヨナのダブルアクセル、加点が多いのがキムヨナの方ってどういうことよ? キムヨナの加点に関してはその他全てそうなんだけど、高すぎだよ。
そしてこれはキムヨナだけのことじゃないけど(まあキムヨナに多いんだけど)、間違ったエッジでジャンプしてるのにロングエッジ判定されずに加点まで付くなんておかしなことも起きている。 こういうこと(ジャッジの主観によって採点が違う)がないように、採点方法を変えたんじゃなかったのか?
でも真央の凄いところは、「真央潰し」ともとれるルール改正(改悪)にもかかわらず、それに対応できちゃうところだ。ルールやジャッジに不平を言わず、真央はどんどんレベルアップしていける。ルールに胡坐かいてジャッジに文句つけている某国の選手は伸び代がほとんどないだろう。
それを思うとまだまだフィギュアファンでいたいと思うが・・・
フィギュアって各選手それぞれ違うプログラムで滑ってて、転倒した選手の方がノーミスで滑った選手よりも得点が高い、なんてことはよくある話。 それはジャッジがおかしいわけじゃなくて、元々の「構成点」が違うから。 こなさなきゃいけない要素は同じだけど、選手によってできる技とできない技がある。難易度の高い技ができる選手の方が構成点が高いのは当然なわけで。簡単に言えばA選手は(ノーミスなら)120点満点のプログラムで滑ってるのに対し、B選手は95点満点のプログラムしかこなせない。 いくらB選手がノーミスで滑ってもA選手には敵わない。A選手がミス連発しても100点取れればA選手の勝ちなのだ。 前回の世界フィギュアで真央が大コケしても優勝したのはそういうこと。ゆかりちゃんがスタンディングオベーションもらえるようないい演技したけど表彰台に乗れなかったのもそういうこと。 それぞれ持っている力量が違うんだから仕方ない。って言うか、それこそ公正なんじゃないか?
今回の全日本、フリーで真央ちゃんのトリプルアクセルは2回とも回転不足判定だった。しかし全体的なプログラム構成はどの選手よりも濃密で高難度の技満載だった。 それなのにフリーだけで見ると村主さんの方が得点が高いのだ。 えええええ〜〜〜〜!!!!の一言に尽きる。 サルコウとループ入れてないじゃん!!フィリップだって肉眼で分かるほどの回転不足だったじゃん!!ルッツだってロングエッジだったじゃん!! しかしあら不思議、サルコウは回転足りてると認定され、ルッツも注意に留まった。
だから全員公正にジャッジしろと。 なぜ日本スケート連盟は村主さんに毎回毎回甘い判定をするのか分からない。 これほど国際大会と国内大会での評価が違う選手はいないよ。高下駄履かせてどうするつもりなのか?トリノ前の全日本と同じだ。あのとき村主さんに有り得ないほどの高得点を与え、優勝させた。そしてトリノでは全日本以上の演技をしたと思う。本人比では最高の演技だったと思う。しかし結果は4位。いや4位でも立派です。だけど気の毒なのは、「全日本では真央にも勝った。同じトリノ代表の荒川さんにも勝った」ことにより、正しい自己分析が出来なくなってしまったということじゃないだろうか。 荒川さんは新採点方式に対応するために「勝つため」のプログラム構成にしてきた。ひとつひとつレベルを取れるように、得点を積み重ねられるようにと(もちろん荒川さんの実力がそれを可能にした)。しかし村主さんはなまじ全日本で高得点を獲得してしまったために、このままで新採点でも通用する、世界でも通用すると思ってしまったんじゃないだろうか。(五輪4位は立派に通用してますが) その証拠に、トリノの結果について彼女は「どうして負けたか分からない」「負けたとは思っていない。歯車が噛み合わなかっただけ」などと発言している。 そりゃそうさ。全日本であんなに高下駄履かされてしまったんだからね。おかげで彼女は五輪4位という立派な結果、そして直後の世界選手権で銀メダルという輝かしい結果を残し有終の美を飾れる所を、諦めきれずに「バンクーバーで金メダル」などという目標を掲げてしまったのだ。
でも、はっきりいって、今の村主さんでは今の世界には通用しないと思う。年齢だって重ねている。五輪で金なんて他のTOP選手たちがバタバタと倒れる以外に到底ありえない。グランプリシリーズでは表彰台に乗ったとはいえ、その大会のレベル自体が低かったし、村主さん自身の得点もそう高いものではなかったよ。
バンクーバー五輪の枠取りがかかってる世界選手権。 真央は別格として、残りの2人は安定しているゆかりちゃんか鈴木明子に行ってもらいたかった。安藤でもいいが、彼女は怪我もしてるし波が激しいので安心して任せられないところがある。なのでせめてもう一人はゆかりちゃんか鈴木で・・・。つーか、フリーの内容からいっても跳べるジャンプの種類からいっても鈴木選手を派遣するのが妥当だろう。 ゆかりちゃんは今回ミスが多かったので仕方がないが・・・NHK杯・グランプリファイナルと連戦で疲れもあったろう。 しかし国際評価としては村主さんよりも高い。世界選手権に3年連続上位入賞しているナカノではなくスグリが来た、となれば喜ぶのは他国だろうに。
あ〜〜〜というわけで採点基準もおもしろくないし、ジャッジの不公平さもおもしろくない。日本のマスコミが不必要に真央を下げてキムヨナを上げるのもおもしろくない。 次の世界選手権は心臓にも悪そうだし、ホント観るのやめようかな・・・
今のフィギュアが面白くないって思ってる人、他にもたくさんいると思うな〜 |