今日は久し振りに中山可穂『猫背の王子』を再読した。
私は中山可穂の作品を愛していて、その中でも『猫背の王子』を猛烈に愛していた。ヒロインの王寺ミチルは、憧れの人であり、憎らしい人でもあった。『猫背の王子』は私にとって特別な1冊だった。
だが、ついに『猫背の王子』から卒業する日が来てしまったらしい。もう、あの時のように心震える事は無くなってしまったのだ。1度好きになった物を嫌いになったりはしないが、もう同じ場所には戻れないのだ。
いったい私の感性は、いつの時点で変化したのだろう? 妊娠した時か、結婚した時か、それとも、もっと前の事なのか。はたまた、年月と言うゆるやかな流れが、私をゆっくりと違う場所に連れ去っていたのか。
自分自身の事なのに、目の前に変化を突き付けられると、戸惑わずにはいられない。自分でも知らないうちに感性が変わっていたなんて、なんだか気味が悪い。
もちろん、年月を経ても変わらない物だってある。なんだかんだ言っても、根っこの部分は変わらないように思う。……と言う事は、変わってしまう部分は自分にとって、それほど大事な部分で無かったと言えるのかも知れない。
今日は大切な宝物を無くしたような寂しさを覚えた。新しい宝物が見つかるよう、願わずにはいられない。
年月と共に人は変わっていくのだと言う事実に、一抹の寂しさを感じつつ、今日の日記はこれにてオシマイ。