編み物をするようになってから、街行く人達のマフラーや帽子やセーターが気になって仕方がない。
編み物を始めたばかりの超初心者で、初挑戦のマフラーも、やっと半分弱ばかり編んだだけなのに、もう次に編む物を考えていて、どんなデザインで、どんな毛糸を使っているか研究中なのだ。
毎日「手編み」を求めて目をギラつかせているのだけれど、私の思いとは裏腹に、手編みの物を身に着けている人は案外少ないみたいだ。今の季節、書店へ足を向けるとはじめての手編み」をテーマにした雑誌や本が平積みになっていて、手芸店の編み物コーナーでは女達がひしめき合っているのになぁ。彼女達の作った物はどこで活躍しているのだろう? それとも、全国的に見ると彼女達は極少数派の人間なのだろうか。謎である。
そんなことを思いながら電車に乗っていたら、肩から黒い縦型のバッグをさげた50代くらいのサラリーマンが私の座っている席の前に立った。いかにも風采の上がらない感じだが、しかし真面目な勤め人さんなんだろうなぁ…と思わせる雰囲気。取り立てて面白味の無さそうな人だったが……しかし、バッグのポケットから覗いている手袋は明らかに手編みだった。手袋は使い込んでいるらしく、薄い毛玉が出来ていた。視線を上げると、彼の首元には手袋と同じ毛糸で編んだマフラーが!
なんだか訳もなく嬉しくなってしまった。
彼の手袋とマフラーを編んだ女性はどんな人なのだろう? 妻か母親か、もしくは娘か。本人という説もアリだが、なんとなく贈り物のように感じた。手編みのマフラーと手袋は彼の雰囲気によく合っていた。きっと肉親が作ったんだろうなぁ……と知らない男性の手袋とマフラーを見て、ささやかな幸せに浸ってしまった。
これから寝るまでの時間は編み物をして過ごす予定。夫の風邪は回復傾向。今日は、やっと「食べ物が美味しい」と感じるようなったらしい。ご飯が美味しくなったら治っていくペースも早くなるだろう。さてさて。そろそろPCを落として編み棒を握りますかね……って事で今日の日記はこれにてオシマイ。