中島らもが死んでしまった。
アルコールと麻薬が大好きな、気のいい関西人のオッサンが死んでしまった。「らもさん、なんぼなんでも人として最悪やで」と思っていたけど、どうも私は中島らもを激しく好きだったみたいだ。好きな作家さんだってことは分かっていたけど、ここまで好きだとは思ってもみなかった。死んでしまってから、どれくらい好きだったかってことに気がついた。出所してまだ日も浅いのに、これからまだ楽しませてくれるだろうと期待していたのに。
階段から転がり落ちて死ぬって、どうよ? そう言えば激しく愛していた声優の塩沢兼人も階段から転がり落ちて死んでしまったっけか。私も死ぬ時は階段から転がり落ちたいとさえ思う。
まだ52歳だったのに……
あのオッサンの書いたものにどれだけ笑わされ、励まされたことか。困った行動の多かった人だが、少なくとも私は彼の書いたものに支えられていたよ。彼自身が問題アリな人だったせいか、問題アリの人にも優しく寛容だったなぁ……たぶん私は彼の寛容さを愛していたのだ。自分の拠り所になるくらいに。
自分が直接かかわったことのない人の死で凹んだのは遠藤周作以来かも知れない。彼の場合は、ある程度予想のついていた死だったので、ショックは少なかったのだけとれど。中島らもの場合は階段から落ちたのは知っていたけど、死んでしまうとは思ってもみなかったのだ。
なんてことだ……
こんなに好きだったのになぁ。人の死は「好き」とか「嫌い」とか、そういうこと関係ないものなぁ。どんなに好きでも、ずっと一緒なんてことはありえない。まして直接的に係わり合いのない人は、なおさらのこと。
中島らもが死んでしまったなんてなぁ……。あぁ……。