どうやら寸借詐欺に遭ったらしい。
今日は土曜日だったのだけれど出勤で、しかも大阪地方は朝っぱらから豪快な雨模様だった。とうぜん気分が良いはずもなく、ムスッとした顔で自宅から最寄駅に向かう途中、年の頃なら45歳くらいの濡れ鼠の男性から「道を教えて欲しい」と声を掛けられた。
「トラックターミナル」を教えてくれと言うのだけれど、近辺にそんなものはないし、隣の市にあるのは知っていたが、行き方は知らないと告げたらば「じつは新潟から来たのだけれど、置き引きにあって携帯も財布も持っていない。警察に届けを出したが、お金は貸してくれないとのことで途方にくれている」とのこと。運送関係者なのか、トラックターミナルまで行って、今の状況をなんとかしたい……とのこと。
で。必ず返すのでお金を貸して欲しいと言われた。
冷静になって考えてみると、大阪と言っても田舎びた街で、しかも朝っぱらから「置き引き」なんて犯罪に遭うとは思いがたいのだが、どうしたものか、うっかりお金を渡してしまった。水知らずの人にお金を貸すのだから、あげるつもりで1000円ばかり。「持ち合わせがないので、これだけしかありませんが大丈夫ですか?」というと「電車賃になるので助かります」とのこと。男性は「必ずお返しします」とてフルネームと連絡先を教えてくれた。
同僚や家族に話をすると「そりゃぁ寸借詐欺だよ」と一笑されてしまった。確かにそうかも知れない……が、もしかしたら本当に困っていたのかも知れない。善良な人なら落ち着いたら連絡をくれるかも知れないぢゃないか……と思いたいところなのだが、残念なことに私は電車に乗り遅れそうだってことに気を取られてしまって、彼に自分の連絡先を教えなかったのだ。私は彼の連絡先を預かったけれど、まさか「あの時のお金を返してください」とは言えるはずもなく。
もしも詐欺だったとしても僅か1000円のことだし、もしも本当に困っていた人だったら「大阪にも親切者いるんだよ」とアピールできて良かったぢゃないか。もっとも、そんな暢気なことを考えるよりも、むしろ自分の迂闊さをどうにかするべきだろう。私には「オレオレ詐欺」の被害者を笑う資格はないようだ。
ある意味貴重な経験だったような気がする。
今日は休日出勤だったが、明日はちゃんと休みが取れた。とりあえずは朝寝坊だ……ってことで今日の日記はこれにてオシマイ。