+++恋の味+++



 彼は胃腸が弱い。

以前お泊りした時のことです。
いつもは、腕まくら&だっこで寝ているわたし。
ふと気づけば隣に彼がいません。

あれれ? どしたんだ?

確かに泊まっているホテルの部屋ですが、
一人になると、とたんに全然違う部屋みたい。
飾りのない、ただただ広い壁。
壁の真ん中にぽつんとかけられた絵。
大きい窓、広いベッド、サイドのランプ。

二人でいるときは、ステキに見えたのに、
気がつけば一人で、とても部屋が広い。

怖くなって、布団に丸まり込んで、
待ってみても、彼が戻ってこない。

いなくなっちゃった?

そう思ったら、とても不安になって、
いてもたってもいられない。

アホらしいことに半泣きになりながら、
あわてて、部屋の中を探して、
荷物がそのままなのを確認して、
ノックもせず、トイレのドアを開けた。
・・・と思ったら、閉められた。

「いるのー?」

トイレに向かって言うと、
「うん」。



戻ってきた彼の身体は冷たかった。



なんで、冷たいの?

トイレにこもってたからなぁ。

どれくらいいたのよ?

20分くらいかな?


ずっと、トイレにいたらしい。
20分も、冬なのに、裸で。
あんた、お腹壊した原因はそれでなくて?
って思わず言わずにいられない。


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こんな話はナンですが、
彼はトイレに閉じこもります。

「トイレに閉じこもるから」
そう言うと、なかなか出てきません。
多分、胃腸が弱いんでしょう。

トイレは、落ち着いていられる場所みたいです。
トイレに週刊誌を持って入ります。


・・・びっくりよ。


わたしの家には、
落ち着いて本を読みながらトイレ
という、習慣がありません。
テレビや漫画や、よく見た光景のはずなのに、
トイレに本を持って入るのにびっくり。

そのうえ、トイレに本棚が欲しいらしい。
そんなにトイレが好きなのか?
だからそんなにこもるのか?

いえいえ・・・
胃腸の弱い方にそんなことを言ってはいけません。
かく言うわたしも、最近胃が弱くなってきました。

トイレにこもる率も高くなってきたかもしれません。


でも、言います。

お泊りの日は、
トイレこもり禁止です。

せめて、起きている昼間に行ってください。

2002年01月10日(木)
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