+++恋の味+++



 「お別れ」が前提

2週間ぶりに彼に会いました。
会えない2週間は長く、一緒にいた2日間はあっという間。
いつもより長く一緒にいられた週末は特別で、
だけど、その分けんかもしました。
一緒に手をつないで歩くこともできたし、
混浴温泉にも行ってきました。
今すぐ報告したい気持ちもあるのだけれど、
まだ気持ちがいっぱいいっぱいなので、その話はまた後日。

彼に会わずにいた2週間の間に、友達が日記HPを公開して書き始めました。
友達の日記はたわいもない恋人たちの日常を書いたもので、おのろけ話だったり、まじめに妊娠を語っていたりするのだけど、最初は楽しかったそのページも、すぐに読むのが辛くなって、「彼に会うまでは読まないようにしよう」と決めました。
彼に会えば元気になれるから、その後なら読めるのだけど。

そこにある、恋人だったら普通に交わしているような、
「ずっといっしょにいようね」
「はなさないよ」
「好き。愛してる」
って言葉全部が私を落ち込ませました。

それは、
当たり前にある「未来」が私たちにはないから。

「略奪愛」なんて言葉もあるけれど、
私たちはお互いにそれを望んでいない。
彼がとても子どもを大切にしているのを知っているし、
その子どもたちには、
「母親」も、「父親」もかけがえのないもので、
私が変わりになれるわけもない。

彼に会い始めた頃にした約束。それは、
「片方が本気になったら、会うのを止めること」
「家庭を大切にすること」
「避妊をきちんとすること」

どれも、お互いに傷つかないようにするために、
決めたこと。
始めた最初はお互い『遊び』で
長く続けるつもりなんてちっともなかった。
少しでも長く一緒にいたいと思うようになった今でも、
彼には家族を大切にして欲しいと思っている。
私たちは
「お別れ」を前提におつき合いしているのだ。

「いつまで続くのかなぁ…」って思ったり、
「もうやめたい」って思ったり。

もちろん、彼のことは大好きだから、
「ずっと一緒にいたい」
と願うけれど。

ずっと一緒にいられないことは、最初から知っていた。

彼が私に「好き」って言い始めた時も、
「彼のことが好きなのかな?」って思い始めた時も、
「好きなんだ」って自覚した時も。

ずっと、
「2人でいる未来」
がないことは知っていたけれど、
「もうやめよう」と思うたびに、
あるはずもないような「もしかして」が、あるような気がして
「さよなら」が言い出せないまま。

だけど、私たちの先には、いつか「さよなら」があって、
彼と交わって一緒に歩いた時間も、
いつか「思い出」にしなくちゃいけない。

「好き」って言葉を言われるたび、
身体が震えて、泣き出したいような「嬉しい」と一緒に、
いつだって、「言わないで」って思っている。

これ以上好きになりたくないのに。

お互いに相手を好きになるだけ、「さよなら」も大きくなる。

それは、最初から知っていたはずだけど。
傾き始めた気持ちは止まらなくて、
でも、未来は変えられるはずもない。
いつだって、「さよなら」が前提の関係だから、
「ずっと一緒にいようね」
「はなさないよ」
「好き、愛してる」
全部の言葉がそのまま、言葉のままに受け止められる関係がとても羨ましい。

私の伝えることができない「好き」を伝える場所として、
暗い内容が多くなってしまうかもしれないけど、
同じ思いをしている人が一人でも読んでくれればいいな。
と思って、この日記を書くことにしたのです。

2001年10月08日(月)
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