初日 最新 目次 MAIL HOME


I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
kai
MAIL
HOME

2023年12月16日(土)
『菊地成孔 3DAYS』菊地成孔クインテット

『菊地成孔 3DAYS』菊地成孔クインテット@Shinjuku PIT INN


何を書いているんだ。いや、自己紹介のラップに“蜘蛛巣城の山田五十鈴”ってラインがありましてね。

-----
菊地成孔:vo, ss
林正樹:pf
宮嶋洋輔:g
小西佑果:cb
秋元修:drs
-----

毎回書いているが、箱舟ピットインの核心は聴き手の心のなかにだけある。しかし書いておかないと忘れる。という自分のエゴの為によるメモです。ちょっとだけね、ちょっとだけ。

・林さんだけマスクをしている。風邪でもひいたかな? と思っていると
・菊地さんがなんかヨレヨレな感じで出てきました。みうらじゅんが描いたボブディランみたいなルックになってる
・第一声が5度くらい低い。あらら
・まあその声がまた良くでですね(笑)それはともかくどうした、風邪か
・えー聴いてのとおり声が出ませんで、咳がとまりませんで。女子医大に行ってコデイン注射してもらってきました。コロナもインフルも陰性でした、とのこと
・その後ずっと面白いコデインの話が続く。ブロンに入ってるやつよこれ? とか

・壊死性リンパ結節炎の再発は完治して、その後部屋で転んで(おじいちゃんか…ご無事で……)腰椎を2箇所骨折したとこ迄は知ってたが、受難が続きますね……お祓いに行きなよご本人そういうのわかってて行く必要はないと決めてらっしゃるから第三者がなんだかんだいえないけど。お祓いも効果自体はないだろうとは思うけど

・初めてコンディショニングに失敗した〜つってましたが、この方調子悪くてあたりまえ(©近田春夫)を地で行く印象なので、具合悪いなら悪いでいいステージを見せるのだろうなあという信頼感はある
・で、実際演奏は凄まじく良かった

・主婦、のお題からゴダール『彼女について私が知っている二、三の事柄』、マリナ・ヴラディがゴダールから受けた演出の話、フィンガースナップのカウント、からの〜何かと思えばRinbjö(菊地凛子)「魚になるまで」のカヴァー! よごかった!!! 素で誤字っているが見直してみれば「すごかった+よかった=よごかった」なので直さない
・いやこれ……ごめん本家(Rinbjö版)より好きだわこれ。MCが詩になり、ライムになり、インプロで演奏が拡がる。そして何より菊地さんの声がよい。帰宅後改めて本家版聴き返してみたけど、タンギングとか声の掠れ具合とか、なんでこうも女性=女声のポエトリーリーディングとして書かれたものが男性=男声によって色気を持つものかね
・本家版ではエレクトロニカ(詩にも出てくるが)なトラックのところ、アコースティックなクインテットで演奏されるレアなバッキング。リズムが強い。秋元さんのゴーストノートも気持ちよい

・もう定番のムーンライダーズ「G.o.a.P(急いでピクニックに行こう)」。ワインのCM提供曲の予定がNGになって(詩が問題?)自分たちの曲にしたってエピソード。そうだったんだー
・歳の離れたカップルの話も面白かったな。「G.o.a.P」のふたりは19歳離れている。これは男性が歳上だけど、女性が歳上のことも多くなってきたでしょうとかなんとか。同人誌であるのかな? と突然いいだしたがどうしたんだ

・「色悪」も今回の声だとまたエロみが増し増しでよかったです(笑顔)
・薬でボーッとしてるのでタイム感がわからなくなって1曲が長くなる〜てことで1曲カットしたっぽい
・幻覚が見える。ドラムが石若だ〜
・またそういうことを(いつも)
・しかし秋元さんはむっちゃ楽しそうに叩くよね。こちらも笑顔になる

・本日の主なテーマは弟
・小西さんが姉、秋元さんが弟なんで、秋元さんがタイムキープを小西さんに任せっぱなしで好き勝手叩く、という話題は恒例ですが
・今回初めて男性陣が全員弟だったことが判明。「そうなの!? 結成して何年よ、知らなかった!」
・菊地さん=兄の弟、林さん=姉の弟、宮嶋さん=兄の弟、秋元さん=姉の弟、小西さん=弟の姉、だそうです
・あっでもそうかも! 林さんも弟だね! 小西さんを「おねえちゃんこっちこっち〜」って感じで誘導するもんね! だって。ニコニコと頷く林さん
・望むものは手に入らないとわかっているけど、ひとつだけ叶うなら俺はおねえちゃんがほしかった、とのこと(笑)

・サックスはソプラノのみ。まだ歯(茎)が安定しきっておらず、斜めにマウスピースを噛んでしまうので姿勢が悪くなっちゃうとのこと
・11月の日仏学院(Banksia Trio SPECIAL LIVE special guest 菊地成孔『サンジェルマンの夜 in TOKYO』)でソプラノ吹いてて、原雅明さんがこういってたので安心はしていたのだが
・いやはやキレッキレでした
・のど飴(龍角散の のどすっきり飴)を舐めつつ、舐め乍ら話すなって感じですよねと何度も出したり入れたり。口に入れたまま演奏したところ、マウスピースもキーもベタベタになり、「押したら戻らねえ! と焦った」
・とはいえ演奏はキレッキレ

・2nd setは配信あり。悪コンディションでの対応が体得出来てきたか見かけ共々シュッとなる
・自己紹介のラップすごかったな!(Q/N/Kのナンバーかな? 未聴なのでこれから聴いていきます)
・この喉でラップをするか、という感じですがやるって決めたんで、とのこと
・いやーすごかった
・こちらも1st set同様MC〜指パッチン(絶品)カウントが導入で、演奏がドバッと始まったときの格好よさといったら
・このクインテットでしか出来ない、という音
・どのバンドもそうである筈ではあるが、とはいえ意外となかなかないものですよ

・「寂聴コンポジット」で林さんと映画の感想が割れる(笑)
・レコーディングした日のことをよく憶えている。瀬川昌久先生の葬儀の日
・葬儀で先生の奥様と話す。椅子から立ち上がろうとするので両脇にいた娘さんたちがとめて。俺が膝を折って話す姿勢に
・以前ダンスのパーティ(HOT HOUSE)やってたときご夫婦でよくいらしてくれた。「瀬川は若い子とばかり踊りたがって」「お戯れを(笑)」
・葬儀からスタジオに直行した。(お清めの)塩ない? って訊いたら食塩が出てきた(笑)
・誰かが玉子にかける用かな。生玉子じゃないですよ、茹で玉子。生玉子に塩かけてスタジオで喰うってねえあはははは
・おかしく話せば話す程、その後の演奏が痛みに満ちる
・この曲、いっつもコード進行からサックスのメロディを予想して聴くのが好きなんだけど、いつも必ず違う方向に行く。上がるだろう、と思うと下がる。もしくはその逆
・そしてそれは、必ず無常の美しさを纏う
・悲しみの深さに涙も出ない。心で泣きぬれる
・泣いて、泣いて、泣いて、泣いて、泣き止んで、また泣いて
・「恋なんてね、雷(イカズチ)のようなものよ、逃げられないのよ」って寂聴がいうのよの話。大笑い

・「小鳥たちのために 3番」が聴く度育ち、聴く度痛切に響く
・弦のリフをピアノでやるパターン。アタックが文字通り打撃音になる
・鈴(りん)の音がとても気持ちよい。大儀見さんがPTAで使っている音に通じるものがある
・秋山さんの叩く微弱音ってめちゃめちゃ“効く”

・サーカス「Mr.サマータイム」カヴァーは歌が虫喰いみたいになる(高音が出ないので)
・本人唄ってるけど発声が出来ないのね
・それがまたよくてねえ

・来年の予定の話で「林さんが来年で脱退するんで」つったときマジでフロアが息を呑んだようにシンとしたよね。「嘘ですよ!」ってマジでやめてそんな冗談怖いから
・林さんのスケジュールが合わず一回欠席のライヴがあるのは本当。「どうしよっか、楽器替えてやる?」。お、DCPRGのアレ再びか(それはそれで聴きたい)

・いやはやよかった。ほんと好きこのクインテット。とはいえマジで体調だいじ、ご養生ください

-----

例年3DAYSがある時期ってめちゃめちゃ寒くて、人気の少ない駅迄の道を寒い! 耳が落ちる! と星空を見上げつつ帰るのが大好きなのですが、全然寒くないし生ぬる〜い空気だし、数年ぶりの忘年会だったらしい輩が帰りがたいのか路上で呑んでてめちゃ混んでるしでなんなんだという。でもやっぱり菊地さんの音が聴ける年末はこの上なくうれしいものなのでした。

(20231219追記)
・だいじなことを書き忘れていた。弱っていたからなのか歳の割にカワイイ(って自己紹介ラップにあった気が)路線を推し進めたいのか、「白雪姫と四人の小人」つってたぞ!
・白雪姫=菊地、小人=林、宮嶋、小西、秋元な
・俺に何かあっても小人たちが守ってくれる! つってた
・……だいじなことか、これ?
・いやもうホントおだいじになさってください!!! よい年をお迎えください!!!