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2022年03月05日(土) ■ |
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『全感覚祭 #NOWAR0305』 |
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全感覚祭 #NOWAR0305』@新宿駅南口
ふらりと行ける社会活動。そんな場を設けてくれた十三月に感謝と敬意を。内容の詳細は後述リンクに優れた記事を置いておくのでそちらを。ここでは自分の目の前で起こっていたこと、自分が気づいたこと、考えたことを書く。SNSで「#NOWAR0305」を検索すると、いろいろなひとが見た、様々な様子を見ることが出来る。
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3/3、4にGEZANのマヒトゥ・ザ・ピーポーからの告知で開催を知る。
・#NOWAR0305 〈ウクライナ人道支援への寄付についてご報告〉┃GEZAN official site. 終了後、ステートメントもこちらの頁に移動している。
この日はさしたる予定もなかったので新宿に出てみることにした。ライヴが観られるという下心もあった。ちいさなフェスに出かけるのと近い感覚。しかし新宿南口? これだけのひとが集まって音を出せる場所があったっけ? 12時過ぎにNEWoMan側の改札から出てみると、ステージが設営されていた。ここか! 考えてみればバスタ新宿のオープンに伴い歩道が拡張されたので、ステージを組めるくらいスペースがあるのだった。これだけの幅があれば、他の歩行者の邪魔にはならない。
ステージに沿ってトラロープが置かれ(吊ってはいない。地面に置いてある)、そこを越えれば参加者だ。いや、それを越えずとも、向かいの歩道から、ミロードとサザンテラスを結ぶ橋の上から、バスタ新宿のベンチから、NEWoManのカフェやレストランから。多くのひとが参加していた。
カンパボックスを持った子がいたので、募金をしたらワッペンとフライヤーをくれた。ワッペンは北山雅和デザインのもの。GEZANを始めCORNELIUS、METAFIVEのアートワークを知っているひとにはすぐピンとくるタイポグラフィー。フライヤーはやがてモノクロのコピーになった。用意したカラー印刷のフライヤーが予想より早くなくなってしまったのだろう。ちなみにフライヤーには「坂本龍一(メッセージ代読)」の文字がなかった。開催を知った教授が直前に連絡をしてきたか、オファー側がギリギリ迄返事を待っていたかのどちらかだろう。こういうときの教授の行動は早い。だからこそ、現場へ足を運べないことに歯痒い思いがあるのではないだろうか。無事回復してほしい。
マヒトくんはこういっていたけれど、フライヤーには「当日の投げ銭ボックスは、経費を除きこの戦争で傷ついた人へ寄付をします。」と明記されていた。こちらもそれを承知の上で募金した。当日偶然近くを通って、事情を知らず募金をしたひとのことを考慮したのだろう。筋を通す。
進行の篠田ミルが定期的に「通行人の邪魔にならないように」「点字ブロックを踏まないように」「近隣のお店の迷惑にならないように」とアナウンスする。ときには「(飲食店で)おいしいものを食べ乍ら見るのもいいですよ」と、ユーモアを交えて話す。改札前にはJRの駅員が立っていて、通行人の質問(「何をやっているの?」)に応えつつ場を見守っている。公共の場で集会を開催するにあたり、キチンと許可をとり、普段からこの周辺で働いているひとたちとコミュニケーションをとっていることが窺えた。ここにも筋が通っている。
主催者がどういうデモを行いたいか、細心の注意と配慮を払っていると感じた。威圧感がなく、穏健なのが好もしかった。勿論怒りはある、主張したいことはある。しかしそれを撒き散らすことはしない。シュプレヒコールをしないのは、飛沫を撒き散らさないコロナ対策でもある。声をあげない代わりに拍手をする、プラカードを掲げる。プラカードは参加者が自主的につくったものもあれば、そのつくったものをアップロードして共有出来るようにしたものもあった(「#NOWAR0305 ネットプリント」で検索するとわんさか出てくる)。篠田さんもマヒトくんも、事情を知らない通行人に見えるようにボードを掲げてくれといった。青と黄色のウクライナカラーが、晴天の背景に映える。こういうアピールの仕方もあるのだ。配信用、媒体用の撮影がしっかり行われていることにも感心した。そうすることで、より多くのひとの目に留まる。
ボランティアスタッフの方のツイート。スレッド全部読んでほしい。
前方に、プーチンの顔写真のコラージュと攻撃的な文言が書かれたプラカードを持ったひとがいたが、途中からいなくなった。この日は各所で多くのデモが開催されており、そこから流れてきたひともいたようだった。転換時、遠くから拡声器を使ったような声が聞こえるなあと思っていたが、村井康司さんのツイートによると、新宿駅だけでもこんな感じだったらしい。スタッフの方のこういった地道な活動が、場を守っていたのだともいえる。
参加したひとの思いはバラバラだ。そして、モヤモヤしている。七尾旅人や大友良英がいったように、ロシアだけが悪いのではない。そして、ロシアの文化を否定する謂れはない。戦争によって「傷つき、危機的な状況に置かれている人たち」は、どちらの国にもいるのだ。共通して止めなければならないのは、罪のない市民の命と住居が奪われること、歴史を物語る文化財や自然が破壊されること。守らなければならないのは、こどもや、ペットや、動物園の動物たちや、野に生きているあらゆるいきものの命。そして侵略に反対する人々の声が認められ、その安全が守られることだ。
折坂悠太は「どんどんモヤモヤすればいいと思います」といった。「(それぞれがバラバラな考えを持ったまま)まとまらないことが戦争っていう大きい結論に対抗する手段じゃないかなというふうに思います。ない答えを考え続けましょう。この世界を、ちょっとマシなものにしましょう」(後述リンク参照)という言葉が自分にはしっくりきた。方法は種々あるが、これからもコミットしていくことに決めた。
「そんなことをしても何にもなりませんよ〜」と声をかけ乍ら去っていく通行人がひとりいた。意外と気にならない。そんな冷笑に対して使う感情も時間も勿体ないからだ。ステージから、ウクライナ在住の方の「応援してくださる人がいることが希望の光だ」というメッセージが代読された。
終了後、細々とした用事を済ませ、一時間半後に同じ場所へ行ってみる。ステージもテントもひとも、跡形もなく消えていた。ちょっとしたゴミすらもない。大友さんの「新宿のこの場所でこんなことが出来るんだ」という言葉を思い出す。全感覚祭で培ってきたノウハウの蓄積もあると思うが、十三月の機動力は、それは鮮やかなものだった。
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・「戦争反対」と叫ぶのは無意味か?『No War 0305』でGEZANらと1万人のデモが暴力と冷笑に抗議┃CINRA
・反戦という紐帯、あるいはいかにして「音楽の力」と向き合うか――個々別々の人間が同じ場に居合わせることの可能性について┃細田成嗣┃note
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おぼえがき。
・印象的だったのは、ステージ横の甲州街道を通る救急車の多さ。5時間近くいる間、何台通ったか……非常時が日常になりつつあるなと改めて実感
・ごはん食べてから戻る道すがら見た、続々と会場へ向かっているひとたちの姿も記憶に残る。プラカードを手にしているひと、青と黄色の服や帽子を着けているひと、花を持っているひと。年齢層もさまざまだったが、若者が多かったのも印象深い
・坂口恭平さんが「絵を頼まれたんだけどねえ」といいつつ一曲唄って帰ってったの、なんかよかった
・このタイミングで折坂くんの「炎」を聴けたこと、よかったといっていいのかなんというか。いい歌だよね……
・大友さんの言葉には感じ入るものが多かった。ノイズ、シビれました
・テニスコーツが「Everybody Wants To Rule The World」カヴァーしてビックリした! イントロまんま(てかサンプリング)! 思わず声出た! 前日とその前週ベストヒットUSAでTears For Fears特集を観ており、その際流れた「〜Rule The World」のMVを観てモヤモヤしていたのだ
新譜、とてもよいです♡
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