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2018年12月13日(木)
LOUIS COLE!!!!!

LOUIS COLE@Shibuya WWW X



ルイス・コールがやってきた! Brainfeederと契約(「ハイパー・マルチスペック・アーティスト」「Brainfeederの隠し玉」というキャッチがついてな。ウケる)、アルバム『TIME』リリース後初の来日ということもあり話題性は充分、日本のディストリビュートはBeatinkというのも心強い。いや…KNOWERの『LIFE』をリリースしたUNIVERSAL JAZZは、正直少しズレてた印象があってな……。どのリスナー層にアピールしてよいか定まっていない感じで、宣伝展開にも不可解な面があったので。確かにジャズ界隈からのひきも強いし、クインシー・ジョーンズらベテランからの支持も強いけれど、これ迄ユニバーサルから出してきたものとは違うタイプのアーティスト。クラブ層にもリーチし、YouTubeでどんどん新作を出すスピード、フットワークの軽さは、大企業の宣伝展開とは相容れない部分もあったのではと推測します。

これとか殆ど話題にならなかったもんね…お知らせもひっそりすぎてな……。

・超絶360°ライヴ映像が公開!映像をシェアして直筆サイン入りVRゴーグルが当たるキャンペーンもスタート!┃UNIVERSAL JAZZ
・KNOWER超絶360°ライヴ映像(PC・スマホ対応。VRゴーグルなしでも楽しめます)┃VRTGO

ちなみにこの360°イヴェント、観覧申込フォームが壊れてて(ていうか該当アドレスにアクセスしてもなんもない)私が問い合わせメールを出したらやっと修正されたよ。告知が出て一週間くらい放置されてたけど、それ迄他に応募したひとはいなかったんだろうか……。

しかし大手からのフィジカルリリース、それに伴うフェスと単独公演に加えて日本の友人たちによる企画公演もねじこめるという縛りのなさはすごく有難かった。おかげで5月はソロバンドデュオと三形態観ることが出来ました。

というわけで、ルイスが米西海岸新世代ジャズ〜ヒップホップからのビートミュージックシーンを牛耳る(?!)Kamasi WashingtonやThundercatを擁する(カマシはもうOBだっけか)Brainfeeder所属となり、日本でもいよいよ注目されるきっかけとなるのではないかと思います。全公演完売、当日券もなし。フロアの様子も全く違った。半年弱でこうも状況が変わるのかとゾクゾクする。ルイスとつきあいの古いKazさん(後述)がオープニングDJで、ルイスとSam Gendelの(覆面バンドだけどどう見てもな……)CLOWN COREやKNOWERをかけてもフロアは平熱に近い状態。ライヴ本編でも、YouTubeにしか音源がない「Bank Account」等は反応が薄かったので(5月は「銀行口座の歌だ!」ときゃあきゃあ盛り上がった)、この当たり乖離がありそうです。ダワさんも「LOUIS COLE好きで、KNOWER知らない人多い感じがする」といっていたし。ここが繋がれば今後もっと面白いことになりそう、楽しみ。

前置きが長いよ。さてフロアには5月のソロセットとほぼ同じ機材と楽器。ひとつ違うのは、フロア奥に随分高〜いスタンドシンバルが置かれていること。BATTLESのアレくらい高い。この夏〜秋のルイスの活動っぷりはすさまじく、半年ちょっとの間に20曲近く新曲が増えている。当然セットリストは違ってくるわけで、新曲のどれかであれを使うのかな? とか思う。それにしてもなんだろう……前日の追加公演(ルイス曰く「明日のための練習です」(笑))の様子を検索していたときこんなツイートもあったので気になる。

開演がかなり遅れ(スタッフの様子からしてDJが随分延長されたっぽい)期待でパンパンの空気のなか、自作の出囃子とともにルイスは「When You’re Ugly」MVで着ていた筋肉全身タイツに黒のパンツ、吉川晃司かターミネーターかで意見が割れる(笑)サングラスでにょろっと現れたのでした。ウォームアップか、最初にKeyで弾いたフレーズはチャルメラ。ここちょっと記憶が曖昧、いしやきいも〜♪ だったかもしれない。ちょ、どこで覚えてきた! 笑いとどよめきが起こる。挨拶、感謝の言葉に続いて『TIME』からのナンバー「Freaky Times」でスタート。リフ、リフ、メロディ、ドラムソロ。ルイス・コールといえば、の構成。待ってましたと言わんばかりにフロアから歓声が飛ぶ。

ぽそぽそしゃべり、ぱたぱた弾いて、ばたばた叩く。たびたび説明あり。今何を操作してる、ベースラインを録ってる、このソフトでループさせてる、唄います、間奏です、さてドラムに行きますよ、叩きますよ〜。どのようにして音が重ねられ曲が出来ていくかの見える化が歴然、MVどおりの痒いところに手が届きまくるプレイ。そして唐突に始まり唐突に終わる、ひょろ長い腕を振りまわすダンス、ダンス。どなたか書いてたけど「独演会」という言葉がぴったり。そして例のシンバルは、スティックを投げつけて鳴らすためのものだった。バシャーン、見事命中、フロア大ウケ。

それにしてもなんというか、言葉は悪いがせわしない。シーケンサーや他のプレイヤーに任せてドラムだけ、歌だけに集中したらさぞ高クオリティなライヴになりそうなものを、ハイパー・マルチスペック・アーティストの名に恥じぬ全部自分でやりますステージ。そして余韻に執着することがない。幻想的なハーモニーやコアッコアなリズムを矢継ぎ早に繰り出し、フロアが興奮、陶酔していると「ハーイ出来上がり〜、じゃあ次ね」とバッサリ。美しいアウトロが印象的な「Night」をあんな終わらせ方するかね(笑)。

シャイな性格の裏返し? あふれまくるサービス精神? ひとつに凝り固まりたくないのか、ユーモアは絶対不可欠という信条か、もしくはDIYでやってきた矜持の現れか。ひとを喰った感じはしないんだよね……あれが標準仕様な様子。5月のソロでも感じたけどギークっぷりが強烈で、やっぱりどこか閉じている。でも独りよがりじゃなくて、フロアの反応にとても敏感。「When You're Ugly」の前には「このタイトル、友だちに『俺/私のこと?』」ってよく訊かれるんだけどそうじゃないし、皆のことをいってるんでもない。ここにいる皆はセクシーだと思う」なんてことも話してましたね。それをニコニコして聴いているオーディエンスもシャイなひとが多かったような感じがしたな。とっても盛り上がるんだけどバカ騒ぎする輩はおらず、様子をじっと窺ってる感じ。

やはりいちばん盛り上がるのはドラムパート、スツールに移動すると大歓声。「Bank Accont」後半のスロー/ファストは圧巻でした。遅いクリックを鳴らしていても、そのクリックを128分割したグリッドが脳内にあるんじゃないかというリズム感。ギアチェンジの際、アクセントを「置く」感覚。みるみる複合リズムが併走していく。オープンハンドの演奏スタイルに左利きかと思っていたんだけどキックは右脚だし、左右どっち起点でも自在にリズムを操っている。力む様子は全くない、しかし繰り出される音は太く、芯にヒットしてる感じ。YouTube発表のMVがバズッたばかり、ホーンセクションがバリバリに格好良かった「F it up」もひとりで、音の隙間にドラムをぶち込んでやりきって、これがまー格好いい。KNOWERでもエレポップ/バンドセッションと2ヴァージョンで楽曲の魅力を多角的に見せてくれますが、そのワザをここでも。ルイス・コールという多面が過ぎる魅力を堪能したステージでした。

いやーもう隠し玉とはいってられないでしょう、編成によっては大バコも湧かせられる。次はビッグバンドを呼べるんじゃないかな? 呼んでほしい! Beatinkさん期待してます!!! といいつつも、あの「閉じた」感覚はずっとだいじにしてほしいなと勝手なファンは思うのでした。

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セットリスト(setlist.fm
01. Freaky Times
02. Thinking
03. Bank Account
04. Phone
05. Everytime
06. When You're Ugly
07. F it up
08. Night
09. After the Load is Blown
10. Who cares
encore
11. Mean It
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ライヴ後なんとトレンド1位に、本人もビックリ。また来てね!

・LOUIS COLE / 満員御礼!全公演SOLD OUT!驚異のバカテク&絶妙にキレの悪いふしぎな踊りで観客を魅了した最高のライヴを披露!!┃Beatink
Beatinkにレポートあがりましたん。キレの悪いふしぎな踊り……

・ブレインフィーダーはなぜ日本にとって特別なレーベルなのか? コンピ『Brainfeeder X』を機にレーベル・スタッフと振り返る10年┃Mikiki
今後も楽しみだぜ〜


本編ラスト、「Night」〜「Who cares」があがってました。ね、このあっけない終わらせ方!



東京の翌日、京都公演のすごいよく撮れてる動画。シェア有難うございます! はああ、ため息



KazさんのDJよかったなー。2018年の今、フロアで、爆音でJane Childの「Don't Wanna Fall In Love」を聴けるとは! 大好きだったよこれ〜!  Kajagoogoo(!)もかかったで…Kazさんまだ若かろうに何故にこうも80年代……。で、DJの流れとしては前述のCLOWN COREやKNOWERで〆てルイス登場、といきたかったんだと思うんだけど、開演が遅れたためピークが何度もあった(笑)。色々聴けて楽しかったです


追加公演でルイスが着ていたこのTシャツにウチのTLは震撼していましたが、後日WhiteLightWhiteHeat改めWLWHさんがこんなことを書かれてました。

ルイスは怖い映画好きだそうだけど、それだけではないヒントがこのTシャツには隠されているような気がしてきたぞ?