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2018年07月20日(金)
高橋徹也 バンドセット・ワンマン『The Endless Summer - revisited』

高橋徹也 バンドセット・ワンマン『The Endless Summer - revisited』@Shimokitazawa 440


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Vo, G:高橋徹也
B:鹿島達也
Key:sugarbeans
Drs:脇山広介
Pedal Steel:宮下広輔
Tp:河原真彩
Ts:小笠原涼
Tb:西村健司
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語彙をなくしつつもちょこちょこおぼえがき。440で高橋さんのバンドを聴くのは初めてです。このハコ、高畠俊太郎が上田現を追悼して「Happy Birthday」を演奏したところ、という印象が強く、この日もステージ上に設置されたままのアップライトピアノを見て「これで弾いたんだよなー」などと思っていた。当日プレイヤーが演奏しなくても常にそこにある、440の主と勝手に思っています。

さて、この日は高橋さんの最新作……のひとつ前、『The Endless Summer』アナログレコ発ライヴ。「revisited」というサブタイトルがつきました。アナログ好きな高橋さんが自分の作品をレコード化するならこれ! と選んだアルバムです。HMVからのリリースというトピックもあり、客層もちょっとここ数年とは違ったような。「タカハシー!」なんて野太い声も飛びましたよ。SNSでその存在が周知され、ライヴの評判がじわじわと拡がっているということもあるのかも。ホント、このバンドの持つ凄みは一筋縄ではいかないな。アロハを着たおっちゃんたちがニコニコと寄らば斬るみたいな殺気を放つ。高橋さんが「このバンドでやることはごほうび」「このバンドでやれる、メンバーに会えるのを楽しみにして日々のソロ活動をやっている」てなことを仰ってましたが、ひとりで活動されている高橋さんからすると、インディーでの実務(具体的な制作費やブッキングのやりくり)の大変さとともに、孤独を必要とする音楽制作は苦しさを伴うものなのだと想像します。バンドのメンバーと演奏することは、自分の頭のなかの音楽をともに具現化する、頼もしい味方が近くにいる、と感じるのかもしれないななどと思う。

猛暑も猛暑、今年の夏は(も)つらい。あの夏好きのey吉野さんですら「もういや」といっていた。しかし『The Endless Summer』からのナンバーをはじめ、このバンドで演奏される夏の歌の数々に涼む思い。いや〜滋味だわ、もはや癒される。自分の話になるがホンットに暑さに弱く夏が苦手なんだけど、それをなんとか憎しみやヘイトに表出せずにいられるのは、フジとかソニマニ(サマソニとはいいきれない…あれはマジでしんどいので行かないで済むならそうしたい)とかのフェスが楽しいからだし、ひいてはそこに音楽があるからですよ。あああ夏に殺意を抱きそうになっていたわいけないわ、高橋さんの音楽が抑止力に! 感謝! 海辺の日差し、汗がはりつく夜、街灯に誘いよせられる羽虫。そんな歌詞はないけれど、数々の夏の光景を脳裏に浮かべ愛でるひととき。

な〜んてのんびりしていられなくなったのが、「Night & Day, Day & Night」。ご本人もブログ(後述)でベストテイクと書かれていますが、飲食可能なライヴスペースの雑音が全く聴こえなくなる程集中力を持っていかれた演奏だった。PAもダブかけてたような気がしたんだけど幻聴かしら……高橋さんはFISHMANSに言及しているけど当方MUTE BEATを想像していました。440だったから上田現→レピッシュ→増井くん、という図式が頭にあったのかもしれないが。宮下さんのスティールペダルと高橋さんの単音のギターがずるずると夜の深みへと聴き手を引きずりこむ。圧巻。

アップライトベースを構えた鹿島さんと脇山さんの怒涛の丁々発止は音だけで震え上がる。鹿島さんの強烈なグルーヴ、脇山さんの鋭いショット。ほぼセンターの席だったので高橋さんの真後ろにいた鹿島さんの姿はこの日殆ど見えなかったのですが、いやはや演奏で涼ませていただきました(おそろしくて)。脇山さんはいつもより見えたなあ、松潤に似てるなあなんてニコニコした。ハンサム度がますますアップの新しい髪型を高橋さんは「絶対かっこいいなんていわない」そうです(笑)。

そしてこの日、とても大きなニュースが発表されました。レコ発、バンド初演のナンバー、告知盛りだくさん、といっぱいいっぱいだった様子の高橋さんは、いつにもましてMCが支離滅裂。単語が出ても接続詞が出ない。それだけ演奏に集中しているのだろうな。秋にTシャツをつくり、区切りでもない一昨年に『夜に生きるもの』全曲演奏ライヴをやって、アナログ発売するのは最新作ではない、そして皆がアロハ着ているときにひとりだけ着てない(笑・これはたまたまか?)。ご自分でもひねくれ者だか天邪鬼だかと仰ってましたが、そんな彼が緊張の面持ちで発表した告知に、悲鳴にも似たどよめきが起こりました。



二年前に『夜に生きるもの』を全曲演奏したときも「再現」という言葉は使っていなかった。「昔だったら意地でもいいたくない……口が裂けてもいわなかった『再現ライヴ』をやります」「それだけの覚悟を持ってこの怪物二枚に挑みます」。怪物。自覚があるんだ。とんでもないものをつくってしまったとは当時も思っていただろうが、それに対峙することが出来るという今の体感もあるのだ、きっと。バンドの充実を受けてのことだろう。楽しみで仕方がない! ところでやっと発表出来た! という安堵か、だいじなライヴの告知も会場がどこかいいわすれてましたよ(笑)。

アンコールで聴けた新曲「友よ、また会おう」の素直さに驚き、こうした曲をつくるに至った心境を思う。販売されていた小冊子を読み、次男坊の気持ちを思う。初盆のため短い帰省へと向かう前夜、次女坊はライヴに参加出来たことに感謝したのでした。

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・一夜明けて、ライブ後記│夕暮れ 坂道 島国 惑星地球
ご本人のブログ。セットリストも。チケットにも店頭ボード(冒頭の画像参照)にもクレジットがなかったTbの西村さん、こちらではちゃんと紹介されています。「インディーになってからのアルバムを辿るような」セットリストになったのは、件の再発を控えて思うところがあったのかな


サムネ画像が格好いいのでリンクではなくツイートを埋め込んだる。リクエストリクエスト!


じ、実はアナログ出すと聴いたとき「この二枚もアナログ再発してくれないかなあ、めちゃめちゃジャケ映えするし!」と思っていたのでした。CD再発が実現の暁にはアートワークも若干変わるようでそちらも楽しみ!