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2018年01月12日(金)
灰野敬二 × BO NINGEN

灰野敬二 × BO NINGEN@青山 月見ル君想フ

このあと高熱出して寝込みまして未だ本調子じゃないんですが(カオティックスピードキングとLITEのライヴとばしちゃったよ(泣))、それ程強烈だったというか生気を吸いとられたかのような凄まじいライヴであった。年明け早々とんでもないものを観た、まだ一月なのに今年のベストになるかもしれない。

熱で記憶もとんでったので、まずはこちらのふたつのブログ記事をご紹介。もうはあはあはあと膝を打ちまくり乍ら読みました、素晴らしいレポートです。

・A Challenge To Fate『灰野敬二×BO NINGEN@青山 月見ル君想フ 2018.1.12(fri)』

・ゾウィの音響徒然日記『月見ル君想フpresents BO NINGEN×灰野敬二@青山月見ル君想フ 1.12(fri)』

セットリストも載っていて有難い…BOさんの曲だな〜と判ったの、当方アンコール含めて三曲くらいだった……。二曲目が「Kizetsu no Uta」だったってこの記事読んで初めて気づいたよ! この日のライヴは全編完全コラボということで、インプロ部分も多かったのだけど、既存の楽曲がここ迄換骨奪胎されるとは。そして驚かされたのは、灰野さんと組むことによってBO NINGENのロックバンドらしさが剥き出しになったこと。

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灰野敬二:vo、harp、perc
Yuki:g
Taigen:b、vo
Monchan:drs
Kohhei:g
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灰野さんは歌と詩、ブルースハープを何種かとチャルメラ、フレームドラム(鈴のついていない大型のタンバリンのような太鼓)を担当。冒頭ぼそりといった「心で嗤う嘘つきが大前提」(これ他の方も“嗤う”と書かれてたけど、音声だけを聴いててもこの表記がイメージされたなあ)を筆頭に、刃物のような言葉を投げてくる。曲中何度もクリアファイルをめくっていったりきたりしていたので、展開に合わせてそこにしっくりくるフレーズをその都度探していた様子。ポエトリーリーディングのように長く文章を続けるのではなく、リズムとともに短いフレーズを連呼したり、メロディをつけて唄ったり、シャウトしたりと色とりどりの声を聴かせる。これ迄灰野さんというとギターを使ったノイズ演奏のイメージが強かったため(以前観た山川冬樹とのコラボレーションでもギターを演奏していた)、クリアな声で唄うとこんなに綺麗な声なのだ、と驚かされたりもした。伊藤ヨタロウのような綺麗な高音が出る。タイゲンくんはハスキーでやはり綺麗な声をしており、ふたりがハモるとなんとも美しい情景が拡がる。

圧巻だったのは、前述したように自分は何の曲かも判らなかった二曲目。モンちゃんがキックでテンポをつくり、ユウキくんとコウヘイくんがそれぞれ全く毛色の違うエフェクトをかけたミニマルなピッキングを重ねていく。灰野さんがフレームドラムを叩き、テンポやリズムパターンを牽引していく(モンちゃんちょう真顔でついていく)。ベースが重なり最初の声が入る迄6〜7分はあったのではないだろうか。楽器はそれぞれ全く違う音色でリズムを刻んでいるが、やがてそれらの隙間がなくなっていき、しまいには音がひとつのかたまりとして聴こえてくる。PINK FLOYDの『The Wall』のようじゃないか! 耳栓を取りだすタイミングをすっかり失い、爆音直撃。いや、しかしこれは目も耳も逸らしている場合じゃなかろう。ただただ叩き出される音を浴びるのみ。

五曲目(だったか?)ではLed Zeppelinの『Physical Graffiti』を喚起するような骨太のギターリフが繰り出され、ベースとともに強力なグルーヴをひねり出してきた。これ迄サイケ? ドゥーム? ノイズと爆音に日本歌謡の美しい音階? とどう説明していいものか迷う(それが魅力でもあるのだが、サイケと呼ばれることにメンバーは戸惑いを覚えているようでもある)BO NINGENのサウンドメイキングの根幹が見えた気もしました。献身的ともいえる、そして極めてクリエイティヴィティ溢れるリフを駆使して音を構築する、これはまさに王道のロックバンドじゃないか。こんな形で気づかされるとは。

灰野さんの采配により、BO NINGENの聴き方のコツのようなものも教わった気もする。そして灰野さんの歌い手としての魅力も知った夜だった。そうそう、ダンサーとしても素敵でした灰野さん。全ての仕草が絵になる。

なんて貴重なものを観られたんだろう。またの邂逅を楽しみにするとともに、この夜この場にいられたことに感謝します。これぞコラボの醍醐味! 熱が下がったらきっと憑きものが落ちたように元気になることでしょう。なりたい。