I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
kai
MAIL
HOME
|
|
2017年08月13日(日) ■ |
|
八月納涼歌舞伎 第二部 |
|
八月納涼歌舞伎 第二部@歌舞伎座
『修禅寺物語』、『東海道中膝栗毛 歌舞伎座捕物帖』。いやー歌舞伎座久々、春先ここの近所の仕事してたんでお昼は歌舞伎茶屋のカレーうどんばっか食べてたけど劇場には入れず(笑)やっと観劇ですよ。ハレだわー、あがるわー。
初世坂東好太郎三十七回忌、二世坂東吉弥十三回忌の追善狂言『修禅寺物語』。三年前に観たときは夜叉王=中車、桂=笑三郎、楓=春猿でした。今回はお父上と兄上の追善ということで、夜叉王=彌十郎、楓=新悟がしかとつとめておりました。桂は猿之助。おお、猿之助さんが桂を演じると、彼女の頑固さが出世欲にも家を思ってというふうにも見えるな。臨終の顔を父親に向ける姿も凛々しさと禍々しさに満ちている。それを取り憑かれたように描きとる夜叉王、。彌十郎さん、業師の趣。エモと型のせめぎあいにもなる芝居はぞっとする幕切れ、夏にはいい演目かも。
笑った笑ったパンクな『東海道中膝栗毛 歌舞伎座捕物帖(こびきちょうなぞときばなし)』。これ、夏恒例にすればいいじゃない。と三部制の納涼歌舞伎にまっさらの新作ふたつぶっこまれた場合の舞台裏のたいへんさを知らない観客は呑気なこといいます。いやたいへんだよね…染五郎さんとか朝から晩迄でずっぱりだしね……でも面白かった……夏のおまつりにぴったりの演目なのでシリーズ化してほしい。YJKTが事件を解決! ハラハラドキドキ歌舞伎座殺人事件! 宙乗りでやってきて宙乗りで去っていく、次はあなたの住む街へ?
杉原邦生構成というのも個人的見所だったのですが、いやーよく出来てるなあ。劇中劇で『義経千本桜 四の切』がとりあげられ、役者たちのせめぎあい、興行の難しさ、舞台機構を謎解きの材として扱う。バックステージものとしても楽しめ、継承されてゆく作品への思いが昇華されている。巳之助くんの狐忠信初めて観たんでほろりときた(そして思えば巳之助くんの静御前も初めて観た・笑)。こどもたちにとってはあこがれの狐忠信と静御前という役は、若手〜中堅の役者たちにとって「いつまでもやっていられない」役へと変化していく。役を譲るか、固執し続けるか。その限定感は興行の危機により無効となり、役者と裏方の力によって無効になる。観客はいつか観てみたいと思っていた役を、いつか再び観てみたいと思うようになり、それが叶った暁には好き勝手に喜び嘆く。
第三部『野田版 桜の森の満開の下』のことを思う。日程の都合で観られるのは千秋楽のみなのだ。楽しみでもあり、怖くもあり。折しもこれに出ていた勘九郎さんと七之助さん、大詰を前にでもう行かなきゃといいだして、「桜の森に行かなくちゃなんないから」と帰っていかれました。ウケてました。こういうとこニクいですねー。中車さんがカマキリ仕様だったり土下座芸(芸か?)を披露したり、時流? を取り込んでて楽しい。
そして金太郎くんと團子くんコンビの見目麗しいこと。てか團子くん久しぶりに観たんだけどおおお幼児が少年になっている。そしてもう台詞まわしがこどものそれではない。ひとの成長というものは〜と目が遠くなりました。タメを利かせた「(狐忠信をいつの日か)やってみたい、」と台詞、とても感じ入りました。作品が受け継がれるには役者の肉体がいる。観客の目がいる、語り伝える言葉がいる。観客はそうした新世代が現れるのを待っている。その日がくるのを待ち続ける。
その日の観客の反応により二通りの展開がある“マルチエンディング歌舞伎”もみどころのひとつ。KTさんが拍手を募り決定、この日はB展開でしたー。拍手の数は同じくらいに感じたんだけど、猿之助さんがBか、Bだねと誘導したように感じて(笑)いつもBなのか? とか疑いつつ帰って検索してみたら見つかるのはAが多かった。レアだったか? 訝しんでごめんなさい。AとBそれぞれの取り調べ後ひと悶着あって、共通のエンディングに合流するのでしょうが楽しかったなー。
しっかしあの幕開きやら照明の色味やら(あの黄色!)ミラーボールの使い方やら、すごいKUNIOさん色あったと思うんですが構成からどこらへん迄演出にかんだんでしょうかね。今年は自分とこの公演があるから演出助手での参加はしていなかったようだけど気になる。
-----
・お盆休みで電車も街も空いてる。この日のチケットをとったときから「観劇前にニューキャッスルでカライライス食べよう〜」と楽しみにしてたんだけど、イヤな予感がして行く前調べたらやはりお盆休みだった。ガーンとなる。どうするかねえと銀座についてうろっとしていたら、日曜定休の煉瓦亭が開いている! お盆にともなう変則営業で、来週から休みに入るらしい。並ばず入れて元祖オムライスが食べられた。いやーラッキー、ニューキャッスルはまたの機会に〜
・観劇後はもう今日しか行けないしと急いで上野動物園へ。『真夏の夜の動物園』関連商品としてマヌルネコの限定グッズが販売されていたのです。扇子とクリアファイルが目当てだったんですが、この日の午前中で売り切れたとのことでガックリ。しかしホンモノのマヌルは相変わらずかわいかった。ああマヌルはかわいい、本当にかわいい
|
|