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2016年12月20日(火)
『野獣死すべし』

『野獣死すべし』@角川シネマ新宿 スクリーン1

夏にやっていた角川映画祭が好評につきアンコール上映、やっと観に行けた〜。『蘇える金狼』と続けての上映だったので、そのまま居座って松田優作祭りにするか? とも考えたんですが、時間の都合で断念。『雨にゆれる女』をリピートしまくっていたこともあり、気分はハードボイルド月間でもありました。

スクリーンで観るのは初めて。いや〜松田優作、怪演。今作の松田さんがいちばん岸田森みがあると思ってるんですが、その匂いは強烈。この時期本人もそれを意識していた、と何かで読んだ憶えがありますが、実際どうだったのでしょう。文学座の先輩後輩ですし、共演もしていますし。奥歯を抜き減量し、青白い顏、瞳孔が開きっぱなしのように黒々と光る目。岸田さんのコピーにならないのはその体躯。長身で腕と脚が異様なほど長く、細い。蜘蛛のよう。その身体を深く折り曲げて現れる冒頭のシーンは、不気味極まりない。

戦場ジャーナリストだった主人公の心の闇は、今で言えばPTSD。こうやって今観ると時代、社会的背景が反映されており興味深かったです。世界は変わらないのだな。分析や追究は続き、対策が生まれても、解決出来ないことは必ずある。エグいシーンもなかなか多く、これ当時は普通に地上波でオンエアされてたわねー、えらいこっちゃと思う。しかしそのおかげで? 小学生時分にこれを観られて、強烈な映画体験を出来た訳で。映画といってもテレビですが。まあなんというか有難いです。隠されなかったことへの感謝だ。ようやくスクリーンで観られてうれしかった。

松田優作が伝説的に語られている作品ですが、鹿賀丈史がすんごい巻き込まれ型の不憫な役を好演、かわいいそう。フラメンコを舞う根岸季衣も格好いい! 室田日出男もちょうかわいい。風間杜夫や岩城滉一、佐藤慶も出ていて豪華メンツですがな。当時は知らないで観ていたんだもんなあ。今回見た顔が出てくる度ええええ?! と驚いていた。しかも1〜2シーンしか出てなかったりして、贅沢だわー。小林麻美はクウネルの表紙よりも全然眉細かったです。