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2016年07月03日(日) ■ |
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『ハリーとトント』 |
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『ハリーとトント』@TOHOシネマズ日本橋 スクリーン2
『午前十時の映画祭 7』での上映です。1974年作品。
おじーちゃんハリーとねこトントのロードムービー。区画整理のため、終の住処と決めていたNYの家を追い出され、ひとまず長男の家へ。なんやかんやあって長女を訪ねてシカゴへ、次男を訪ねてLAへ。
長い長い道路、広い広いアメリカ。綺麗な水色の中古車でルート66を走る。道中出会ったひととの交流、久しぶりに会うこどもたち。長年連れ添った今は亡き妻、初恋の女性。さまざまな思い出を甦らせ、過去を慈しみ、未来を愛してみようという気になる。
不景気で、物騒で、恐ろしい街NY。物語の序盤、ハリーと友人は古きよきアメリカを思って嘆く。2016年のこちら側は、そんな70年代の光景を古きよきアメリカとして観ている。街のありよう、ひとのありよう。ユーモアと寛大さ。ペットづれだと知る前の大家の、不愛想なのに笑える売り込み。運転手は文句を言いつつしばらくバスを停めてくれる。ヒッピーの彼女を諭しはすれど説教はしない。初恋の女性はハリーのことをアレックスと呼ぶが、ふたりのダンスはあたたかいものに満ちている。ルート66は1985年に廃線。既に亡くなっている出演者も。人間でさえそうなので、トントは言う迄もない。
ちっちゃい頃に観たときは、なんで長男の嫁はここで怒ったんだろうとか、長男の息子が行きたがっているコミューンでは皆が幸せになる楽園みたいなところなんだなと漠然と思っていたものですが、大人になった今観ると「なんでこのおじーちゃんこんなに気軽に車買えるの」「そんなにアメリカの年金はよいの」とか考えちゃう(笑)。いやいやそもそも年金というものはこうあるべきだろうとかね。ああっせちがらい! 自分が! 観るとき自分が置かれている環境や心情により印象が変わる映画。だからこそ、一生観ていける映画。そして人生の伴侶としてのペット、家族としてのペット。ペットは喋らない、ただ、そばにいる。それでいい。だからこそ、一緒に生きていく相棒として、とびきりの愛情を注ぐのだ。
昔の映画はエンドロールが短い。キャストの最後に「and... TONTO」と流れる。ほろり。トントはトントだったんだ。
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・Harry & Tonto (1974) | Cinema Cats 映画に出てくるねこを紹介するサイト。makoさんのツイートで知りました。あかん、延々観てしまう……。 その流れで話題になったんだけど、映画におけるねこって茶トラ(赤毛のしましま)が多いねって話。そういえばそうだよねえ。ハリウッド周辺ののらねこに茶トラが多かったのかな。そもそもハリウッドにのらねこはいるのか。地域性もありそう。ちなみにウチの周辺はさばトラが多いです
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