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2014年10月28日(火)
『チラシ:危険な噂』

コリアン・シネマ・ウィーク 2014『チラシ:危険な噂』@韓国文化院 ハンマダンホール

東京国際映画祭の提携企画。『新しき世界』のジュングことパク・ソンウンさんが出演しているとのことで観てきました。いやーおもろかった、いろんな意味で。

才能を見出だした女優の成功のため、独立事務所を設立し、奔走するマネジャー。徐々に認められ、大きな企画の映画主演も決まった矢先、根拠のないスキャンダル記事が裏業界紙“チラシ”によってばらまかれる。潔白を証明する機会を逃したまま女優は死に、マネジャーは記事を書いた人物への復讐を決意する。ところが謎を追ううちに、思いも寄らぬ証券街の闇が彼の前に立ちはだかる!

スピーディな展開にハラハラドキドキ、サスペンス的にも手札の出し方が上手で時間を忘れたわー。結末もある意味爽快。しかもなんか途中からコメディになるんですよね…コメディだよね……。マネジャーがチラシ発行元に接触して逃げられて、車を走って追いかけるんだけどその追いかけっぷりがあまりにも長く、そしてスピードが衰えない。だんだん「…ここ笑うとこじゃね?」て感じになってくる。んでチラシ編集部に乗り込んでみれば、そこのひとたちが結構いいひとたちなんですよ(笑)。だんだん「あっ笑っていいね!」と言う空気になってきて、結構やんややんやな客席となりました。指折るとこで「(イーッ!)」な声が漏れたりして。こういうの楽しい。

ツッコミとしては「法医学とは…」とか「殺し屋稼業とは…」とか。そしてマネジャーがあく迄一本気なマネジャーで女優と恋仲にならないとか、女性の登場人物に暴力をふるわない(その場面を映さない)とか、好感度をあげるいろんな気配りがあるなあと思いました。あと数十分毎にハイライトがあって退屈しないとか。TVドラマっぽいんだけど、これはこれで面白かった。

そして観終わってみれば、女優が信頼しているマネジャーに打ち明けられない秘密が必要だ。こういう設定にしよう! あそことあそこの設定は決まってるから、それにあてはまるのはこれだな! とかストーリーの構成の流れが見えてしまうんですが、そこは前述したように手札の出し順が上手いので楽しめました。マネジャーがなんであんなに走れるのんって疑問に「短距離走の選手だった」って出して来たとこには笑ったが。あっあと国会議事堂が沢山映った! 『テロ, ライブ』で覚えたことが役に立った!

マネジャー役のキム・ガンウさんは爽やかな好青年。25日の上映では舞台挨拶にいらしたそうで、あらお目に掛かりたかったわ。『新しき世界』のアニョアニョ理事(チャン・グァンさん:特別出演)も出てた〜。そして盗聴マニア役のひと、役者とは異質の愛嬌だったんだけど、本国ではミュージシャンとかDJで有名とかだったりするのかしらん…と調べてみたらちゃんと役者さんだった、コ・チャンソクさん。…って、『観相師』にも出てたのか、気付かなかったー! 達者! てか韓国映画観るようになってから輝国山人さんのサイトにすっごいお世話になってますよ…有難い……。

ソンウンさんの役は、表の顔はガードマン会社社長、裏の顔はボスの邪魔者を消すためには殺人も厭わない殺し屋…殺し屋なのか? と言う……。あの、ここもいろいろとツッコミどころが…だいたいマネジャーの不屈っぷりがすごい。何度ボコボコにしても諦めない。ちょっとソンウンさん(の役)ひいてなかった? 無表情の裏でやだもうこの子怖い! どうしよう!? って怯えていればいい。革のロングジャケット姿でイメージとしてはターミネーターだったのかな…しかしなんだかいいおべべを着せてもらったプーチンみたいでした。秋田犬とかと遊びそうな。ガードマン会社も偉い会長さんに資金出してもらって起業したんだよね〜なんだその愛人が小料理屋開きましたみたいな。おもろい。

ああ楽しかった〜歩いて新宿迄行こう、と会場を出てふと気付く。あの通りには、その昔アイドルが飛び降りたビルがあるのです。宮沢章夫が『トータル・リビング 1986-2011』で描いた、屋上の看板「クリナップ」は(新しいものに替えたのかも知れないが)今もある。彼女は「クリナップ」の「ッ」と「プ」の間から飛び降りた。夢を持ち、有名になりたいと日々がんばっていたけれど、誰にも打ち明けられない秘密があった。それが原因で死んでしまった。映画に出て来た女優の笑顔が思い出されてしょんぼりした。

韓国文化院初めて行きました。入館したらロビーの大きなモニターにシン・ハギュンさんが大映しになってたんだがなんだったんだろ、ドラマ? 『半神』のチラシも置いてあってニヤニヤ。