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2014年09月27日(土) ■ |
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Penguin Cafe 来日公演 2014 |
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Penguin Cafe 来日公演 2014@めぐろパーシモンホール 大ホール
「タイタニックが沈む迄演奏を続けた楽団は、海でペンギンに生まれ変わりペンギンカフェを結成した。やがて彼らは陸に上がり、再び船に乗り込み、今日ここで演奏をしている。彼らと同じ船に乗り合わせた聴衆は、目の前の危機的現実からしばし離れ、演奏に聴き入る。」
と言うのは、二年前の来日公演を観て浮かんだ妄想だ。二度目の来日公演は千人以上のキャパのコンサートホールで開催された。バルコニー席から観るステージは遠い。「二代目です、よろしくね」と言ったお互いドキドキおずおずな感じも、インディー招聘(つっても前回もプランクトンでしたが)なアットホームな空気も薄れた。それでもアーサーはステージに走って出てくるし、カフェに集まったひとたちは同じ船に乗っているようだった。
「誰もが暴力的になり、戦争が起こる。人々は狂い出し、苦しんでいる。私はペンギン・カフェのオーナー。みんないらっしゃい。」
サイモンの夢はますます現実的になる。と言うより、ずっとそうだったのだろう。楽団が不在の間、そういった場は十数年失われていた。アーサーが新しい仲間と屋号を引き継いだ楽団は、やってきたひとたちを再び分け隔てなく迎え、演奏を聴かせてくれる。最新作『THE RED BOOK』(ユングのサウンドトラック!)からのナンバーを中心に、サイモン時代の楽曲も、コーネリアスのカヴァーも織り込んだ(アーサーが「小山田くんいる?」とか言っていた)セットリスト。ステージ奥のスクリーンには、演奏するメンバーだけでなく、エミリー・ヤングが描いた数々のペンギンアートが映し出される。ペンギンダンサーズも登場し、演奏とともに聴衆を楽しませてくれる。
アーサーはピアノをメインに、クアトロ、ウクレレ、ハルモニウムと、楽曲ごとにパートを替え、ステージをニコニコと駆けまわる。それは他のメンバーも同様で、ダレンやデスも上手に行ったり下手に行ったり。パーカッションブースではピーターとキャスがうろうろ。ニールは今回も欠席でした。余談ですが来日前のアーティスト画像ではロン毛だったオリが坊主になってて、「あれ、メンバーに入れ替わりあった?」と動揺してしまった(笑)。
ペンギンダンサーズは男女ペア、木野彩子さんと小田直哉さん。山田せつ子さんによる振付を、最初はペンギンマスクを抱えて、そして被って踊る。ステージ中央に出てきたり、ステージ後方の左右にあるカフェスペース(椅子、テーブル、パラソルが置いてある)に座ったりとユーモラスな演出。岩切明香さんによる、ペンギンイメージの黒の衣装(下はサルエルパンツ)も素敵だった。振付があるとはいえダンサーのホームはにじみ出るもので、大駱駝艦のメンバーである小田さんの踊りはむっちゃ大駱駝艦。特に下半身の安定感。あの高速千鳥足とか、ああ、大駱駝艦! とニヤニヤした。それもあってか? 会場には麿さんの姿も。テンガロンハットに革ジャケット、ちょー迫力あって格好よかった。
ちなみにこの日はキャスの誕生日。メンバー紹介のとき、アーサーがキャスをとばしたので客席も本人も「えっなんで?」となっていたら、ケーキを持ったスタッフが登場。笑いとともに皆でハッピーバーステー♪、そして拍手。ひといきでロウソクの火を吹き消したキャス、照れたようにニッコリ。ホールは広くなり、バンドに貫禄も出てきたけれど、こういったひとなつっこさは変わらないものだった。終始にこやかに本編は終了。
アンコールの一曲目は、アーサーのピアノソロ「Harry Piers」。山田さんがすらりと登場、客席から静かなどよめきが起こる。サイモンに捧げられたこの楽曲をひとりで演奏するアーサー、そして山田さんのダンス。まさにトリビュートなひととき。会場がしんとした空気に包まれる。そして「Music For A Found Harmonium」。イントロと同時に歓声があがった。
アーサーはヴェニューを気に入っていたよう。時折足首からのぞく靴下は赤。ネクタイ、ベストも似合っていて、パワーエリートのビジネスマンに見えなくもない。いいとこの子って感じ。親父とは違う道を歩むんだ! とケンブリッジで学んでいたけど、やっぱり家業を継ごう! とゴールドスミスに入りなおして修行を始め、遂に念願のお店開いた子みたいね〜と言う話で帰り道盛り上がった(笑)。半分妄想だけど、半分は本当。
泣いたり笑ったり忙しかった。また来てくれて有難う。
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・セットリスト 01. Telephone & Rubber Band 02. Catania 03. Bluejay 04. Swing The Cat 05. Solaris(w/Penguin Dancers) 06. 1420(w/Penguin Dancers) 07. Nothing Really Blue(w/Penguin Dancers) 08. Landau(w/Penguin Dancers) 09. Giles Farnaby's Dream ---INTERVAL--- 10. Southern Jukebox Music 11. Odeon 12. Radio Bemba 13. And Yet...(w/Penguin Dancers) 14. Paul' s Dance 15. Birdwatching At Inner Forest(Cornelius' cover) 16. Perpetuum Mobile 17. In The Back Of A Taxi 18. Beanfields(w/Penguin Dancers) 19. Black Hibiscus ---ENCORE--- 20. Harry Piers(Arther's Solo, w/山田せつ子) 21. Music For A Found Harmonium(w/Penguin Dancers)
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おまけ。アーサーのお母さまでありサイモンのパートナーであり、ペンギンカフェオーケストラのイメージを印象づける数々のアートを手掛けたエミリー・ヤング。現在は彫刻家として活躍されているそうです。 ・Emily Young Sculpture
・ペンギン・カフェ 来日公演|Penguin Cafe|PLANKTON プランクトン
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