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2014年01月03日(金) ■ |
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『映画 中村勘三郎』 |
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『映画 中村勘三郎』@東劇
昨年からの「喪ったものを愛でる傾向」を継続している…訳ではないが、期間限定上映だと言うので。昨年末の特番も観ておらず、と言うかまだ日常生活の流れで観る覚悟がないのですね。映画館、と言うか外出先でなら気も張っているし、家に帰る気力も残さねばならないのでその辺り一歩ひいて観られるかなと思い。
フジテレビが保存している貴重で膨大な映像アーカイヴを、時系列で辿り乍らじっくりと見せる。平成中村座のスタート、NY公演、襲名披露、地方巡業。舞台と舞台裏、そして芝居小屋を離れたときの姿。これ迄のオンエアで観たものも、初めて観る映像もあった。泣かせの演出はない。ナレーションが全くなかったのもよかった。
死の床にある源左衛門さんを見舞い、ご家族が気丈に「(先代のところに)一番乗りだね」と言った途端声を詰まらせる勘三郎さん。これは当時も観たものだが、今ではご本人もあちらへ行って、先代と源左衛門さんに早過ぎると怒られているかも知れないななどと思わないではやってられない。芝翫さんも映っているし、この数年であまりにも沢山の方がいなくなってしまったのだと改めて思う。
「七十になったら勘三郎をやめて好きなことをやろうと思ってるんだ」と言う言葉に呆然とする。本当に、短期間で、あっと言う間に状況が変わった。五年後にこんなことになるとは誰も想像していなかっただろう。「ウチには団体のお客さんがいない。芸を磨き続けないと、お客さんたちはすぐいなくなってしまう。有難いことでもある」。観客を愛し観客に愛された、当代随一の歌舞伎役者。
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