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2013年07月06日(土)
『アマテラス』

『アマテラス』@赤坂ACTシアター

何度も再演されていて、歌舞伎座でも上演された演目ですが初見です。『アマテラス』の神話を坂東玉三郎丈の演出で。長年玉三郎さんと太鼓芸能集団・鼓童の共演作だったところ、今回アメノウズメ役に愛音羽麗さんを迎えたとのこと。台詞はひとことふたことしかなく、ほぼ全てを舞踊と、太鼓や笛、箏といった和楽器の音色で表現します。

ACTシアター音よかった。太鼓の力強い演奏は勿論仏壇前で鳴らすお鈴みたい楽器(見せてもらったパンフに正式名称書いてあったが忘れた…)や、チャッパやジャンガラ(今回名前を知った)と言ったシンバル類の繊細な音も綺麗に響きます。一幕終盤、アマテラスが隠れて世界が真っ暗闇になったときの音がすっごいよかったなあ。客席もすごく集中していてい静まり返っていて。あれくらいのキャパがクラシックの演奏会場なみに静まり返るの久々だった…ある意味トホホですな……。いやホント、最近の劇場って落ち着きないんだなーと改めて思ったわ(苦笑)。グラスハープのように鳴らしたお鈴の音色が、鈴虫の羽音のように響く。暗闇の世界のなかに、命があることを感じさせる。命は光のような音をたてると同時に、黄泉の音楽のようにも聴こえる。

スサノオ役は鼓童のメンバーの方だったのですがひとりだけ長髪で(他のひとは皆刈り上げた短髪だった)、この役のために伸ばしたのかなと思いました。玉三郎さんが長身なので、美丈夫でないとバランスとりづらそう。その辺り流石の体格でした。皆さんすごくシェイプアップされた体躯の方ばかり。打楽器やってると自然とエクササイズになるのかもねと話した。大きな布を舞い上がらせ乍ら踊る場面も多いので、玉三郎さんの優雅でおおきな振りが映える映える。

愛音さんはアメノウズメの妖艶な踊りを披露。アマノウズメはアマテラスが「なになにあのセクシー課長は?」と岩戸を開けてしまうくらいのエロ美神なので(笑)セクシュアルさ全開、太腿も露な大股開きのダンスで魅せます。えっ宝塚にいたひとが?とちょっとうろたえた…いや、衣裳ちゃんと着けてますけど。ファンの方たちショックを受けないかしらと余計な心配をした。しかし聞けば男役のスターだったそうですが、在団中は女役もされていたとか、成程。

やーしかしホント太鼓っていいなー!普段は忘れている土俗的魂を思い出すわー(御されやすい)。二幕はアマテラスが隠れちゃうので殆ど暗いままなんですが、ちいさな灯りを見つめ、鼓童の演奏の響きに耳を傾けるのは至福の時間でした。玉三郎さんの出番自体は割合からすると多くはないのだけど(隠れちゃうから・笑)贅沢な時間でした。

それにしても打楽器ってのはホントいろんなものがあって、名前が判らないものが多いよなー。普段「チーンてやつ」とかで通じちゃうからな……。楽器でもこういう本あるのかな、ありそうだな。