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2013年04月20日(土)
『今ひとたびの修羅』

シス・カンパニー『今ひとたびの修羅』@新国立劇場 中劇場

堤さんの殺陣観るのって『蜉蝣峠』以来かな。いやーやっぱり格好いい!この劇場って奥行き含め舞台が広いうえ、舞台から客席が近い。生身の人間のダイナミックなアクションが映える。渡世人風情のナリが似合うし、片手で扱う刀が軽々と感じられるところもいい。杜夫さんは渋くて男も女も惚れるキャラクターだし、コメディリリーフな浅野さんや浩介さんは面白いし(浅野さんはシリーウォーク迄見せてくれますよ)、女優陣は素敵だし美人ばっかだし、出演者はホントよかった!

……と言うのも、あの、ホンが………いやそれとも構成が…………。

ええと、原作『人生劇場』を読んでいないし、舞台化されたものを観たのも初めてだったのですが、これ、ホンをカットしたり構成しなおしたり、してますか……?展開がとてもスピーディなんですが、あのースピーディ過ぎてええ〜?となる箇所がすんごく多くてですね……。

いちばん損してる感じがするのは宮沢りえさんの役、おとよ。旦那である飛車角がおつとめに行ってる間、飛車角の舎弟である宮川に走ってあんな男もういいんだーっつって、飛車角が戻ってきたらやっぱりあんたのことがー!つって、しまいには「皆死んでしまえばいいー!」ジャーン!(音楽)って。……えーっ、えーっ。劇中照代のことをヴァンプだと言う台詞がありますが、いやヴァンプはおとよだろ…(悪い意味で)。照代やお袖は強くていい女!

と言うのも、黒幕が組を裏切っていたこと、それにまつわる借金をおとよとお袖が抱え込んでいたこと等、話の核になる部分の扱いがすんごいちいさい上に終盤ぱぱぱっと説明台詞で片付けられちゃうんですね。なのでおとよの葛藤とかが全く見えてこない。前述の浅野さんや浩介さんの役柄も、なんか、勿体ない……と言う気持ちが立ってしまいます。実際彼らが出てくるシーンは楽しんだし笑ったし、いい仕事だなあと感心するんだけど、でも、せっかくシスの公演なのに…これなら彼らをしっかり観るならシス以外で呼ばれた公演の方がいいのかな…と思ってしまうんですよ……。

ちなみにいちばん可哀相(これは見せ場どうこう、ではなくてストーリー上)な役柄は岡本健一さん演じる宮川。か、かわいそう!かわいそう過ぎる!てか岡本さんがあんなに髪短くしてるの初めて見たので最初誰か気付かなくて、細身で綺麗な役者さんだなあとか思っていました…そんな宮川と飛車角が並んで討ち入りするシーンは格好よかったですなあ。杜夫さん演じる吉良常のやり手婆か!てな手回しのよさにも感心しましたし。てか吉良常格好いい!素敵!あんな気配りの出来る人間になりたい!

そうなんですよ。殺陣はとにかく格好いいし、堤さんは昭和の侠客ズッパマリの格好よさだし、りえさんは美しいし、小池栄子さんは素敵で所作も美しいし声もいいし、そんで何度も言うが杜夫さんがほんとーにいい役で格好よかったし、演出もいのうえさんらしいな〜と思いました。楽しんでないってことは全くなくむしろ大層楽しく観たんですが、いろいろひっかかるところが沢山あった舞台だったと…思います……。

あ、あとおとよの三味線で飛車角が唄うシーンは若干緊張が走りました。「飛車角唄ってくれよ〜」て台詞出たときええっとなったよ!堤さんの歌初めて聴いた(笑)。