I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
kai
MAIL
HOME
|
|
2012年12月29日(土) ■ |
|
『007 スカイフォール』『Wonder Land〜暮れの元気なご挨拶、TOKYO No.1 SOUL SET〜』 |
|
『007 スカイフォール』@TOHOシネマズ六本木 スクリーン3
レイフ・ファインズとハビエル・バルデムと言う大好きな役者さんがふたり出ているので、観る前からおなかいっぱいと言うか期待値あがりすぎて挙動がおかしくなる程だったんですが、いーやー面白かった!ええと本編とあんまり関係ないことばかり書くような気がしてますしバリッとネタバレしますので取り扱い注意です。
今回先に観てきたみぃさんとリネさんが「何も言えない…特にレイフに関しては事前情報入れないで観た方がいい」と、twitterの方でネタバレしないでくれたのですね。何ですのん…と思いつつ、観に行く時間がなかなかつくれずあああ早く観たいヨー!と本編に関係ないネタ(新Qの衣裳はプリティグリーンだとかボンドの衣裳はトムフォードだとか軍艦島が出てくるとか)ばっかり仕入れていたのですが(笑)、ようやく観に行って腰が抜けました。め ち ゃ め ち ゃ び っ く り し た
れ、れ、レイフが、次のM。
ネタバレしないでくれてめちゃめちゃ感謝です……ラストシーンではうへぇあとか変な声出た。役名マロリーってそういうことだったのかー!ハリーポッターに続いてのシリーズもの、と言うことは今後私は007を見続けることに…って、今後もで、出ますよね?こんな劇的な形で四代目Mに就任したんだもの、次作で違うひとが演じてたらガクッとなるわ。しかし複雑な気分ではある…レイフが新Mってのは嬉しいけどジュディが退場してしまうとは。Mがボンドの腕のなかで目を閉じたときもまだ信じられなくて、シーンが変わったら松葉杖をついたMが出てくるわよね、なんて願っていたんだけど、イヴの口から「遺言」って言葉が出て……うわあああん。
そうそう、ギリのギリ迄Mが死んだなんて信じられなかったので、後任のことなんて考えられなかったのですよ。ボンドがオフィスに入った頃ようやく「あれ、MI6が存続になってるってことは……」と我に返った。まんまと驚かされました……。わあ〜レイフ意地悪な役なの?Mをいじめないで!キャー久々にスーツよおお、そうそうサスペンダーよねやっぱり、ヘビ顔特殊メイクとかスキンヘッドの戦国武将とかの役で観ることが続いてたので正統派ダンディないでたちが嬉しいわ、あーやっぱりいい声だわあ、台詞がすう〜っと耳に入ってくるわあ(と言いつつ字幕を必死で追う)、審議会ではちょっといいひとだったわ、しかも撃たれたわ、キャー手負いのレイフ大好物よお、あらっ責任は自分がとるってことでQに指示出したわ素敵だわ、えーなんなのこの人物読めない!なんて呑気に観ている場合ではなかった。
そうなるとマロリーを見る目も変わってくる訳で、最初のMとのやりあいも、彼女を更迭ではなく引退と言う形で守ろうとしたのじゃないかしらとか思ってしまうのですよ。腹に一物ありそうだけど、現場者の存在意義に誇りを感じているのは確かだし、複雑そうな人物。今後のシリーズで彼の素性が徐々に明らかになっていくといいなーと言う楽しみが今から出来てしまいました。気の長い話です。
はあはあはあ、レイフのことだけでこんなに書いている。ここでようやく本編についての話になりますが、今回って新旧交代と言うテーマがありつつ、母と娘(…娘?いや息子でもいいけど)の関係についてがストーリーの根底にあったように思いました。身寄りのないこどもたちとその母親となる人物。愛されるこどもと愛を得られなかったこども。どちらも一度は母に切り捨てられる。母のもとへ戻らなかったシルヴァは復讐の鬼に生まれ変わり、戻ったボンドはレザレクションが趣味だと言う。今回事前情報を入れないようにしていたものの、重要な小道具となったブルドッグの置物についてはついtwitterに流れてきたのを読んでしまったのですが、これは事前に知ることが出来てよかった(楠野さんありがとー!)。MI6本部が爆破された際に破損していたこのブルドッグ、ボンドが受け取ったときは修繕されていた。Mの遺言は、何度でも復活して主人=国を守れと言う意味を持つのでしょう。シルヴァはブルドッグにはなれなかったんだな……。怪物のような人物造形だったにも関わらず寂しさのようなものがちらちら見えたシルヴァ、彼がMと対面して「こんなに小柄だったのか」と言ったシーンはとてもせつなかった。Mも彼の本名をちゃんと憶えていたしね。
で、そんな魅力的な悪役を演じたハビエルがもーすんばらしかったです。悪役なのに肩入れしたくなる…たっぷり待たせてくれて、やっと登場したときの存在感!ここの長回し演出がまた利いてて!金髪もだんだん違和感なくなってきて、スカイフォールでの戦闘時にはもう格好いいとすら思えましたよ……。あとどーでもいいことですがハビエルって以前鼻骨折してて、左右の鼻の穴の形が結構違うんですよね。これをあおりで撮ると、シルヴァが受けた壮絶な拷問と自殺しようと使用したシアン化水素の影響のように見えちゃうとこがまたよかった。
アデルの唄う「スカイフォール」に乗せたオープニングタイトルをはじめ、ユニオンジャックに包まれた棺の列、上海の夜景に浮かぶ格闘のシルエット、スコットランドの広大な風景等映像美も素晴らしかった。このあたりわあサム・メンデス!て感じでしたがアクションシーンもすっごい迫力でテンポもよく、メンデス監督ってアクション演出もお手のものだったんだ…とちょっとビックリしました。屋敷を要塞に仕立てて敵を待つ、と言う構図は西部劇のようなクラシックさを漂わせつつ、戦闘が始まってみればボカーンドカーンが派手で派手でもうおまつりか!あ、五十周年だもんね!みたいなエンタテイメントなハレっぷり。で、普段のオープニングテーマを“50th Anniversary”の文字に続くエンドロールの最初に持って来るって構成もニクい!ハラハラドキドキ、デザインも素晴らしい143分でした。
ちなみにエンドロールにもクレジットされていた軍艦島ですが、デッドシティのモデルとして重要な資料になったと言うことだそうで、実際の撮影はセットで行われたそうです(長崎新聞『「007」に軍艦島が登場』)。いつかダニエルもハビエルも軍艦島を見にくるといい……。
****************
『Wonder Land〜暮れの元気なご挨拶、TOKYO No.1 SOUL SET〜』@LIQUIDROOM ebisu
毎年恒例ソウルセットのリキッド。
奇妙礼太郎トラベルスイング楽団は初見。楽しかった!ちょっとキヨシローさん思い出した。neco眠るは二年前のこのイヴェント以来で、ドラマーくんが脱退後どうしてたのかなと思っていたらそのまま二年休んでいたとのこと。新メンバーを迎えて今年活動再開したそうで、森くんがまた呼んでもらえて嬉しいと言ってました。op後しばらくベースレスで演奏が続いたので、え、ドラムだけじゃなくあのベースの子もやめちゃったの…と不安になっていたら出てきて、例のパフォーマンスを変わらず披露してくれました。オモロい。
しかし何がすごかったってクボタタケシのDJがすごすぎた。文で説明しても伝わらないのは判っているがおぼえがきとして書いておくと、コード、リフ、BPMで各曲を繋いでいくと言うDJの基本をクボタくんの脳内ライブラリにジャックインするとこんなにことになるんだってのをまっざまざに見せつけられたと言うか…雑食も雑食、洋邦ポップスと歌謡曲、ジャズ、オールドスクールを繋ぐ共通言語を読み解くのはひとりの人間の頭脳。ある曲のリフが次の曲のリフに繋がっていくとき、そこにあるのはルーツなのかパクリなのかオマージュなのか?各バンドのセッティング間に30分くらいずつかな、二回やってくれたのですが、一度目終わったとき「もう一度回すよな、続きが聴きたい!このテーマで次もやるよね!?」と猛烈に思いました。で、次のセッティングでもこの流れでやってくれた。こんだけポップスを前面に出してきたクボタくんのDJは初めて聴いたのですが…いやあ、これはすごかったな……「いかれたBaby」は粋な計らい、涙。
ソウルセットのライヴは盤石の強烈っぷりなんですが、今回爆音の上バックトラックまるっと差し替えてる曲があった!新曲かと思った…ヒロシくんやりよる。あとトシミくんの歌が年々強くなってる。大切にしているものや歌を届ける対象が明確になっているのかな。声量や、喉そのものも強くなったように思います。今年はソロ活動も随分やっていたものね。
今回トーイくんと「Innocent Love」やったんですが、これがもうすごくよくて。「さ、皆さんにご挨拶しなさい」と言われてぺこりと頭を下げたトーイくん。SDPやかせきくんと一緒に、ではなくて、トーイくんがひとりゲストで呼ばれた共演。やっぱりトシミくんと声が似ていて、その声で絶品のハモり。父子って…とも思いましたし、トシミくんが今年やった個展『ソバカス』のこととか、お弁当のこととかいろいろ思い返した。新宿リキッドで「Jr.」を聴いたときの祝祭感は今でも強烈に頭に焼き付いている記憶で、それはトーイくんの誕生をフロアの皆が喜び、彼がこの世界にやってきたことを無条件で肯定し、祝福するものだった。その後ソウルセットのライヴの度にフロアで見掛けたり、ステージ上のおとうさんを呼ぶ声を聴いてにっこりしてきたひとは多いだろう。そんな彼が今ではステージに立っている。
ビッケが「はい、年末恒例ですよー。タイトル通り元気にしてる?生きてる?って毎年確認しあってあ〜生きてたね〜じゃあまた来年ね〜って帰っていくイヴェントですからね」と言ってましたけど、そういう面が年々強くなりつつも、やっぱりそれだけじゃないんだな。長く聴いてて観ていると、喜びと悲しみの共通言語が増えていく。
突発FA?のヘルクライムに関してはノーコメントあっはっは。デビッケ・シルヴィアンさんを観られる機会はまたあるのだろうか(笑)。
|
|