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2012年05月03日(木)
『TOKYO M.A.P.S Akiko Yano Edition』

『TOKYO M.A.P.S Akiko Yano Edition』@Roppongi Hills Arena

公式のレポートはこちら→・TOKYO M.A.P.S

J-WAVEが毎年GWに開催しているフリーのライヴイヴェントTOKYO M.A.P.S、今年のオーガナイザーは矢野顕子さん。yanokamiが出演すると言うので出掛けて行きました。他の出演者も気になったのですが昼間は用事があり、会場に着いたのは丁度細美くんが始まった頃。すごいひと!とてもじゃないが椅子のあるスペースには辿り着けない(そもそもとっくに座席は全部埋まっている)状態で、アリーナ周辺はおろかステージを見下ろせるヒルズの階段にもひとがすずなり。二年前に菊地さんがオーガナイザーを務めたときは最初から観た+途中退席だったため混雑には遭遇せず、比較的快適に観られていたのでビックリした……。「今から細美武士だって!」と言って駆け寄ってくる若い子たちもいた。矢野さんが事前のインタヴューでお話されていたとおり、「東京の街角に音楽が流れ、そこを行き交う人が足を止める」と言う力はかなりあったように思いました。

細美くんの声を聴きつつ視界が確保出来る場所がないか、アリーナをぐるりと歩いてみたりヒルズの方に上ってみたりとしばしうろうろ。見えるところがどこにもない……そうこうするうちヒルズのショップから出てきたU-zhaanと出番を終えた原田郁子さんに遭遇。あれ、ひょっとしてU-zhaan出演する?と思ったり。細美くんの出番が終わった後ひとの入れ替わりがあり、ちょっとだけ奥に入れたもののやはり視界は殆どない。まあ仕方がない、音が聴けるだけでも有難い。

サウンドチェックでタブラの音はしなかったので、U-zhaanは純粋に観にきたのだなと思った。それは観に来るよね……。矢野さんが直接出てきてサウンドチェック。ピアノをぽろぽろと弾きつつ、ふんふんと言葉にならない声でリズムを作る。あっと言う間に世界が変わる。音楽だ。

「『風を作れ。雲を渡れ。』って今回のキャッチフレーズだったんだけど、雨迄呼んじゃいましたね」「今日最初から観ているひと!えええ、トイレとか、どうしたの!?すみませんねえ、お茶も出さずに…」溌剌とした、終始明るいMC。「いつもこの位置にいる、相方のレイハラカミが行方をくらましたままなので」と話したとき「ハラカミー!」と男のひとの声が飛び、歓声が起こった。演奏が始まるとそこには確かにハラカミくんのあの音がいる。イントロの音が鳴る度「やばい…!」と泣き出す女の子もいた。

やっぱり、全然、気持ちの整理がつかない。しかし矢野さんは、あれからも、いつでも、毅然としている。自分の音楽を、ハラカミくんの音楽を、万全のコンディションで伝えるために、ブレるようなことは決してしない。矢野さんは笑顔で、ハラカミくんのトラックにピアノをからめ、歌を載せ、yanokamiにだけ起こりうる独特なリズムでグルーヴを生み出していく。軽妙に音を載せていくので感触はさらりとしているが、改めて聴くとよくこのバックトラックで唄えるなと思ったりする。

今回はyanokami舞踊部として、ゲストダンサー森下真樹さんが参加。矢野さんが、森下さんとはNYで日本の芸術作品を紹介するショウケースで出会ったとMC。森下さん、長塚くん演出の『十一ぴきのネコ』で振付を担当された方でした。あまり見えなかったけど、かなりユニークな動き。軽やかで自由で。唯一yanokamiの曲ではない「東京コシツ」は、彼女のレパートリーである「コシツ」をアレンジしたものだったようです。シャンプーのパッケージに書かれている商品説明、成分表記を読み上げたものをバックに踊る。

「yanokamiはこの曲からはじまりました」と、最後に「ばらの花」。悲鳴のような声を伴った大歓声が起こった。“雨降りの朝で今日も会えないや なんとなくでも少しほっとして”。この日この場にぴたりと寄り添ったような歌詞。この曲のみ矢野さんはピアノを弾かず、マイクスタンドで唄った。アンコールは「気球にのって」。風船を持った森下さんが踊る。“雨が追いかけて 来ぬうちに さよなら さよなら さよなら”。またもや今日のために用意されたかのような歌だった。それはいつでもどこでもそうなるのだ。

演奏を終えて、矢野さんは観客にその風船を配っていった。さよなら、さよなら、さよなら。ハラカミくんの音を聴けたことにひたすら感謝した。素晴らしい演奏を届けてくれた矢野さん、有難う、有難う、有難う。

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セットリスト

01. Don't Speculate
02. David
03. Ruby Tuesday
04. 東京コシツ
05. 瞳をとじて
06. ばらの花
encore
07.気球にのって(sayonara)

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PAはzAkさんだったとのこと。