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2012年04月30日(月)
『二代目市川亀治郎大博覧会』

四代目市川猿之助襲名記念『二代目市川亀治郎大博覧会』@ヒカリエホール

通称『渋谷亀博』、「亀治郎の最後の姿を見届けていただけますよう」とのこと。亀治郎の名はご本人も愛着のあるものだったようですし、中国に行く度作って集めていた印鑑がもう使えなくなるのが勿体ないとか、さびしーみたいなことがちょこちょこコメントに書かれていて、猿之助襲名はおめでたいことではあるもののちょっとしんみりしたりして。

『軌跡』『肖像』『宇宙』『映像』の4セクション。『義経千本桜 川連法眼館の場』通称四ノ切の再現セット(あがれます。撮影もオッケー。3.6mある欄間抜けの高さも体感出来ます)から、これ迄使った衣裳や道具、学生時代の成績表(笑・これがまた100点とか97点とかばっかりなのよさ)やノート迄、亀治郎丈のあれやこれやがみっしり詰まった展示でした。しかしなんと言うか、何をやってもデキよるいいとこの子ってのがもーありありで、そしてそのどれもがもーイメージ通りで、ああこうよなこうよなとしみじみ……字はキレーだし書もデキるし絵も油彩から水墨画迄、嗜みましたってレベルじゃないし。趣味の骨董コレクションでは桃山や鎌倉時代はともかく(ってそれともかくか?)縄文時代の土器て。私は何を観にきたんだっけかと途中ぼんやりした……。そして「『狭き門より入れ』の巡業先で遊んだとき、出演者皆でよせがきしましたー」ってそれが屏風に筆書きだったり(笑)もう、規格が違う!あ、あとさらっと藤田嗣治の描いた祖父の肖像とかあってシェーとなった。

らしいわあと思ったのは大学時代のノート。薄いシャーペンで書かれた、筆圧の低い整った字。はかない。このはかなさは舞台写真の数々にも感じたなー。今回の展示のメインでもあった、齋藤芳弘氏によるデジタル合成写真は、ひとつの画面に連続した三姿態を入れ込んだもの。いちばん印象に残ったのは異形のもの――『加賀美山再岩藤』岩藤の亡霊、『芦屋道満大内鑑 葛の葉』葛の葉の姿でした。妖艶であり、同時に壮絶でもある。特に狐の化身である葛の葉の、美しい黄色の衣裳をまとった華奢な身体にドキリとさせられる。「鬼となり、獣となり、地を跳ね、宙を飛び、やがて、幕が下りて人に戻」る歌舞伎役者。

あーこれからしばらくは多少女形減るよね…いや勿論立役も凛々しくて素敵なんですが……や、やっぱちょっと寂しい……。

四ノ切の舞台裏を追った映像ドキュメンタリーも見応えありました。仕掛けや早替わりの舞台裏を見られたのは嬉しかった。日々探求、孤高を突き詰める姿と、稽古中にふと見せる明るさと気配りも印象に残りました。小さい頃から同じ世界に身を置き共演もしてきた染五郎さんとの関係性も独特。話逸れるが四月の平成中村座の筋書に出演者の騒動体験と言うのが書かれていたんだけど、遊びたい盛りのこども時代、頭を割ったり骨折したりして大目玉をくらった役者さんの多いこと。お稽古や本番があるのに!と随分絞られたようです。フツーの家の子だったら男の子だからやんちゃするわよね、元気でいいわねで済むところですが、歌舞伎の家の子はそうはいかない。宿命ですね。

あと肌強くないと大変よねと思ったりした…長年使われているものなので改良されて、スキンケアとしてもいい化粧品ではあるらしいですが。思春期でニキビとか出来てるとあの化粧はつらそう。心身ともにタフでなければやれないですよね……。

閑話休題。予想以上にTeam申のものが観られたのは嬉しかった。初めて現代劇の舞台に立ったところですし、『今、僕らが出来ること』はライフワークにしたいと言っているし、大切な場なのでしょうね。蔵之介さんからの花だけ入口センターにどーんと置かれていたし(笑)前川さんの屏風書も見られたし!よかったー。

あ、あと、ああっそういえば亀治郎さんてスズカツさんの書いた台詞を口にしたことあんのよね!と『恋するナポリタン』についての展示を観て思い出した。ははは……いつか舞台でお仕事ご一緒してもらいたいものです。前川さんのホンでスズカツさん演出で亀治郎さんが出たら嬉しいなー。願いは口に出す、ことだまことだま。