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2011年05月04日(水) ■ |
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『まほろ駅前多田便利軒』 |
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『まほろ駅前多田便利軒』@新宿ピカデリー スクリーン8
じんわりよかった……。「人はどこまでやり直せるのか?」
原作未読、きっとこれから読みます。脚本も立兄ィが手掛けていました。『ゲルマニウムの夜』『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』ときて、この作品。驚きつつも、どこかで納得しているような気もする。どれにも家族やひととの関わりが出てきて、そのどれもがうまくいかない。とりかえしのつかないことが起こる。そのあと、どうするか。
行天は「人はどこまでやり直せるのか?」と言う台詞を吐く。バツイチ男ふたり、家族に捨てられたいぬ、親に見捨てられているこども。それぞれがちょっとずつやり直す。まだ途中だ。死ぬ迄途中なのだろう。でも、やり直そうとしている。やり直したいと思っている。まほろ(モデルは町田)の風景、そこに住むひとたちの淡々とした暮らしとさざ波のような変化が繊細に描かれる。
瑛太も龍平もよかった!ひとくせもふたくせもあるキャストが揃っていたのも楽しかったなー。片岡礼子さんに鈴木杏ちゃん、松尾スズキさん、高良くんに柄本の兄ちゃんに一徳さんにおーもり家(笑)。
皆どっかが欠けている、脛に傷がある。多田が行天に言う「おまえは全て持っているのにそれに気付いてない」イメージに龍平は合ってたなー…持ってるけど、本人には大きな穴が空いているので、それが必要かどうか解らない。だからなんでも気前よくぽんぽん与えてしまう。一方多田はどうやっても取り返せない失ったものにどう折り合いをつければいいか迷ったままで、活路を見出せない。
それでもいいんだと思う。取り戻すことは出来ないのだ。でも、やり直そうとすることは出来る。それが諦観になるか、達観になるか。ああ、じんわりくる。励ましもないし、勇気づけられることもない。でも、心がほっと息をつく。
あ、あと、行天のひらひら走りがよかったな(笑)。原作はその後続編が書かれているようで、映画も同じキャストでシリーズ化されればいいなと思いました。
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