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2011年02月20日(日) ■ |
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『巨星ジーグフェルド』 |
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同一の呪法による二つの儀式〜菊地成孔と菊地成孔によるダブルコンサート〜『巨星ジーグフェルド』@新宿文化センター 大ホール
こちらも映画のタイトルから。類家くんと研太さんそして新加入の大村さんが合流し、ようやく新DCPRGのメンツが揃いました。しかし次のライヴには大村さん出られないそうです(苦笑)。丈青や千住さんは既にキャリアがあるのにも関わらず参加してくれて嬉しいみたいなことを菊地さんがMCで言っていたように、ますます傭兵部隊の装いが強くなったので、全員が集まる機会は減るかも知れない。でもそれはそれで面白いことだ。
あ、ちなみに野音の音源はDVD-ROMで出ます(『BOYCOTT RHYTHM MACHINE AGAIN』DVDROM+フォトブックレットセット、DVDROMのみ)。楽しみー。
確認の意味も込め(と言うか自分が判らなくなりそうなので・笑)改めてメンバーとパート。
菊地成孔(Conduct、Organ、CDJ)、坪口昌恭(Key)、丈青(Key)、津上研太(Ss、As)、高井汐人(Ss、Ts)、類家心平(Tp)、アリガス(B)、大村孝佳(G)、千住宗臣(Drs/Right)、田中教順(Drs/Left)、大儀見元(Perc)
千住さんと田中ちゃんの配置が、昨年の日比谷野音とは逆になりました。日比谷では朝霧JAMとハシゴだった千住さんが遅刻してきて、下手側からステージに入ってきてたのでその都合だったのかな。
と言う訳で、菊地さんのおはなしからスタートと言う珍しい構成。夜毎残虐の限りを尽くすペルシャ王を鎮めるため、シェヘラザードが語って聞かせた『千夜一夜物語』。そのなかのひとつに「シンドバッドの冒険」がある。シンドバッドが暴れものの猿の群れを踊らせることによって治める。踊らずにいられない猿たちはどこだ?
はいはいここですよ、踊らせれ踊らせれ。と言う訳で、終わって「やーやっぱりホールだと短いよねー」なんて時計を見てみれば3時間経ってた。怖い!
吉見さん(Tabla)がいなくなり、野音でゲストだったリッチー・フローレス(Conga)がいないレギュラーメンバーであの部分はどうやる?といちばん気になっていた「CIRCLE/LINE〜HARDCORE PEACE」のブリッジは、大儀見さんと千住さんに時折田中ちゃんがからむと言うものになっていました。いんやそれにしても千住さん、白シャツ着用でアンニュイなグレイプバインのひと(私の思うイメージ)みたいな雰囲気なのだが涼しい顔して変態高速ドラムを叩き出すので怖い。しかも叩きっぱなしなのに全然ヨレないのねー、キープ力が強靭と言うか…あのーただ正確なだけってんなら別にビックリもしないんですよ、巧いなーとは思うけど。なんたって“BOYCOTT RHYTHM MACHINE”ですからね。
なんだろなーテンポとリズムをキープしつつなおかつグルーヴを掘り起こす感じ…ちょっと今回PAが難しかったようで(クラシックホールだから?)ベースが聴き取りづらくなる部分があり、それは演奏者側もそうだったらしく「構造I」(これは今日やるよねー!なんたって「現代呪術の構造」だから!)はかなり危なかった。コンダクター真正面にアリガス、その近くに田中ちゃんと言う配置だったのですが、ふたりはお互いをフォローしつつ演奏している様子もとれました。その様子を時々笑い乍ら見遣りつつ(そんな余裕もある!)千住さんはガスガスリズムを発掘しているようにも見え…それがすごい頼りになる感じで。普段DCPRGはベースをガイドにして聴く(踊る)んだけど、今回は千住さんがガイドになった。
しかしアリガスと田中ちゃんのやりとりを見る千住さんはちょっと羨ましそうにも見えた(笑)微笑ましい。
あーでも序盤はPAそんなに問題なかったんだよ、「PLAYMATE AT HANOI」ではアリガスのベースラインでゴロゴロッと一気にビート感が化けるところがあって、あれは鳥肌たったわー。そして音の通りがよければ今後田中ちゃんがすんごい面白いことになりそうな気もする…そんな、終演直後にツイッター検索して自分の評価を確かめたり(菊地さんの日記参照)しなくてもいいから!(笑)そんなん気にせず好きにやればええがな!
丈青も野音で聴いた時程のお客さんぽさはなくなり、坪口さんと真っ向からやりあってる感じもして面白かったです。類家くんのソロはやっぱり格好いいし、久々DCPRGで聴く“永遠の四番打者”研太さんの音には惚れ惚れ。そして大村さんですが、バリッとメタルのひとで、こないだのTAKUYAくんが入った時の流れから自然に移行して聴けた感じ。と言うかこれ、菊地さんの狙いでもあったんだなあ…DCPRGを再始動するにあたって、最初からギターはメタルで行くつもりだったんだなと。「Mirror Balls」のソロ、すごく映えてました。
今回の2days、菊地さんのハヤリは童貞と処女だったようで(笑)「僕らは音楽に身を捧げて打ち込んできてる。だから大儀見以外は皆童貞」とかそういうことばっか言ってたんですが、音楽に身を捧げてるってのは笑い乍らも素直に頷いちゃったなー。そんな彼らが最後に演奏した「Mirror Balls」には荘厳な空気すら感じました。アウトロのフレーズ、菊地さんにはホールに設置されているパイプオルガンで弾いてほしかったくらい。音楽に忠誠を誓う彼らの演奏には、狂乱の底に脈々と流れる神聖さをも感じました。
あと面白かったこと: 「坪口は野音でショルキーのシールドが抜けたので、今回新しく無線で飛ばすやつを買った」。ワイアレスになった坪口さんはのびのび動きまわっておられました(微笑)
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